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判断能力を欠く人の資産管理と後見制度支援信託の関係(4ページ目)

認知症や知的障害等で判断能力を欠く人の保護・支援のために成年後見制度が導入されましたが、それを担う後見人らによる資産の流用などが多発しています。その対策として最高裁判所は「後見制度支援信託」を導入することにしました。利用できる人や使い方など、ぜひ知っておいて欲しいことをまとめました。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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8ヵ月間の利用件数は49件

信託協会の調べによると、2012年2月から9月末までの後見制度支援信託の利用件数は49件とわずかです。まだスタートしたばかりで商品自体が知られていないこともありますが、 以下のデメリットから、利用が進まないのかもしれません。
<後見制度支援信託のデメリット>
  • 契約締結までの事務手続きが煩雑で手間と時間がかかる
  • 自由に解約できない
  • 信託金は元本1000万円までしか保護されない。信託金が1000万円を超える場合のリスクをどう考えるか
  • 施設入居やリフォーム等のための一時的支出や介護・福祉サービス等の利用増等に伴う定期交付金の増額などには家庭裁判所の指示書が必要なため、本人の身上監護面でマイナスとなる可能性もある
  • 株式や投資信託など現金預貯金以外の金融商品や保険契約、不動産などの資産は対象外なので、その管理をどうするか
しかし、以下のメリットもあります。
<後見制度支援信託のメリット>
  • 後見制度支援信託は後見人による資産の不正流用を防ぐことができるだけでなく、長期間の資産管理の重圧から開放され本人の身上監護にエネルギーを使うことができる
  • 本人の日常生活費や介護費用・施設入居費用などの収支を透明化することができる
  • 相続時のトラブルを回避することができる

後見制度支援信託が導入されて10ヵ月。利用者も少なくこのシステムの問題点が明らかになり手直しされるにはまだまだ時間が必要です。後見制度支援信託以外にも本人の資産一覧表を作成して親族間で共有する、介護や資産管理など親族間で役割を分担して定期的に報告し合う、他の金融商品を組み合わせて同じようなシステムを考える、社会福祉協議会や税理士・弁護士・司法書士などの専門家に相談する、など様々な方法を比較・検討して本人にとって最良最善なおかつ介護者や親族にとっても負担が少なく透明性の高い資産管理方法を導入していきましょう。それは「相続」を「争続」にしない道に繋がります。


<関連記事>
定年後にパートナーが認知症になったらどうする?

<参考リンク先>
信託協会「後見制度支援信託」
家庭裁判所「後見制度において利用する信託の概要」
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