増え続ける成年後見制度の申立
2000年4月の介護保険の導入に伴い、判断能力の不十分な人の保護・支援を目的とする成年後見制度が導入されました。法務省「成年後見制度 Q&A」によると、成年後見制度とは「認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身の回りの協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断できずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあるおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度」とあります。そして成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度から成り立っています。
任意後見制度は、将来判断能力が衰えた時に備えて本人自身が任意後見契約により任意後見人を選びます。既に判断能力が不十分になっている人は、家庭裁判所が本人の判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」に区分し、それぞれ成年後見人・保佐人・補助人を選出します。成年後見人には親族や弁護士、司法書士、社会福祉士、福祉関係の公益法人などが選出され、財産に関するすべての法律行為についての代理権が与えられます。
成年後見制度の申立は年々増えており、最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況(2011年1月~12月)」によると、2011年は申立件数3万1402件、後見開始件数2万5905件でどちらも前年比約4%増でした。申立の主な動機は預貯金等の管理・解約が最も多く、全体の42%を占めています。成年後見人等に選出されたのは親族が55.6%(前年は58.6%)、弁護士や司法書士等の第三者が44.6%でした。
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