変わらない価格、変わらない魅力!

Loganundefinedブラック

同じ”Logan”でも色が黒になると、見た目の雰囲気がガラッと変わります。どうしても「学生服の足元」の印象が強いのですが、そのイメージを逆手にとって、例えばチャコールグレイのポロシャツと紺のショーツとに合わせれば、落ち着きを備えた夏のカジュアルな装いが簡単に作れます。1万6590円(セプティズ TEL03-5481-8651)

昨年2011年に生誕75周年を迎えたBassのローファーであるWeejuns。以前、この記事でSEPTISの玉木店長にお伺いしたことと若干重なるのですが、カジュアルな場面、特に夏のそのような場についつい履いてしまう理由には、以下が挙げられるのではないでしょうか。

1. リーズナブルな価格
Weejunsの最も典型的なモデルであるアンラインド仕様の“Logan”は、ここ数年は税込み1万円台後半で購入可能です。小生が靴に興味を持ち始めた1980年代中盤には、この靴は確か1万9800円だったはず(消費税はまだなかった)。生産拠点がアメリカ本国から中南米諸国に移っただの当時より円高が圧倒的に進展しただのを考慮しても、今日の紳士靴全般の事情を見渡すと、この靴は鶏卵と同様に物価の超・優等生なのだと気付かされます。「正規の価格がアンダー2万円で、しかも縫って底付けをしている靴」って、昨今そう簡単には探せません。

2. スタイルを長年殆ど変えていない
モカシン縫いのピッチやヴァンプの長さ、それにアッパーの色合いなど、細かい点では違いが若干見られますが、基本的な顔立ちは以前のものと変化がありません。デザインが主張し過ぎず基本・原点に忠実で、言わば「雑味」を感じさせないからこそ、その時代時代の装いの変化を広く受け入れられるのでしょう。結果的に様々な服とのコーディネートを無理なく実験できる一足になってくれるのです。そう、履き手の実験を快く許してくれる稀有な靴です。

3. 構造や製法も長年殆ど変えていない
日本人の骨格の変化もあって、近年我が国に入って来るものは足囲が以前のような”3E”ではなくアメリカ本国の標準と同じ”D”が主流になったものの、身体的なフィット感と言う点では必要以上に追求しない的な一種の割り切りが、この靴には以前からあります。にも関わらず底付けは現行品でも貼るのではなくあくまで縫うのが主体、すなわちモカシン製法(マッケイ製法の一種)を頑なに守り続けています。単純でありながらもアウトソールのカエリに優れ足馴染みの早いこの構造が、この靴の存在意義そのものであることをブランド側が解りきっているからでしょう。

つまりWeejunsは
「たとえ履き潰してしまっても、また同じのを買えばいいんだぁ」的な安心感にどっぷり浸かって使える靴なのです。夏場に素足履きすると靴の内部が汗でベト付くのは避けられないものの、それでもこの靴が気にせず・気兼ねなく履けてしまう理由に、この潜在意識は絶対に外せません。まあ見た目によらず、1シーズンで履き潰れてしまうような軟な靴ではないですし、1・2回なら実はオールソールリペアも可能なのですが、言うなれば暑い夏の一日の終わりの風呂上がり時に、定番の銘柄のビールで飽きずに晩酌できる幸福感と似ているかもしれませんね。うん、その意味でもやっぱり腐れ縁だ。

しっかりした輸入総代理店が久々に我が国についてくれたこともあり、この春辺りから以前に比べ多様な店舗で目にする機会が増えたので、今シーズンはなおさら精神的に楽になった感があります。その総代理店=セムインターナショナルによると、来年の春夏シーズンに向けては定番のバーガンディや黒に加え、これまでありそうでほとんど見つからなかった「ある一色」への問い合わせが各取引先から非常に多くなっているそうで、この色(まだ内緒。75周年にはモデルには類似のものがあったような……)が大好きな小生は、実現するのを楽しみに待っていたいと思います。

お世辞にも最高の品質とは言えない靴です。でも、マスプロダクツであるが故に有することが許される心理的な気楽さまでも考えると、これからもなくてはならない、なくなったら絶対に困る手堅い存在がWeejunsなのでしょうね。

【お問い合わせ先】
セムインターナショナル(株)
TEL:092-622-5221

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