ストレス/家庭・育児・嫁姑・義理づきあいのストレス

他人事ではない、5つの高齢者虐待とは?(2ページ目)

家族を介護する人は、たまったストレスのはけ口が見つからず、介護を受ける高齢者に思わぬ攻撃をしてしまうことがあります。こうした「高齢者虐待」は他人事ではありません。定義と予防、対策方法を正しく把握しておきましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

相談することで介護者の気持ちが救われる 

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地域の高齢者支援相談窓口にまずは電話をしてみましょう

虐待をするのは、行為者が特別な人だからではありません。努力ではどうにもできないほどに追い込まれているからこそ、攻撃によって感情を爆発させたり、疲れ切ってやるべきことに手がつかなくなってしまったりするのです。

高齢者の世話や介護をするなかで、その負担に耐え切れなくなってきたときには、地域に相談できる窓口があります。市区町村の高齢介護課、高齢者支援課などの相談窓口、「地域包括支援センター」という介護保険法で定められた相談窓口で悩みや心配の相談に応じています。

こうした窓口に相談すると、介護サービスだけでなく、その人に必要な支援について一緒に考えてもらうことができます。話すだけでも安心できますし、地域にあるさまざまな資源の情報を得られ、自分だけで抱えていた負担を軽くするヒントをつかむこともできるでしょう。

また、近所や親せきなどの周りの人が虐待のリスクに気付いたときには、声をかけ、まずはその人の気持ちを受け止めてみましょう。話しかけにくいとき、協力を申し出ても状況が変わらないときには、やはり前述で紹介した地域の高齢者相談窓口に相談してみるといいでしょう。虐待かどうかの確信がなくても相談に応じてくれますし、相談の秘密も守られます。訪問や介入が必要な場合でも、相談者が分からないように配慮し、対応してくれます。

たとえば、訪ねてもお年寄りに会わせてくれない、一人で介護を抱え込んで苦しそうなのに、声をかけても何も話さない、お金に困っていて、健康状態や栄養状態も悪いようだ・・・・・・、こうしたことが気になって心配な場合には、最寄りの相談窓口に相談してみるといいでしょう。

繰り返しますが、虐待は特別な人が行うのではなく、追い込まれた末の行為なのです。したがって、介護をしていてつらいとき、暴力、暴言が出てしまいそうになるのをいつも抑えていて苦しいとき、周りの人も助けにくい、助けも及ばないときには、ぜひ前述に紹介した窓口に問い合わせてみましょう。話すだけでも楽になりますし、また情報を得ることで安心することができると思います。
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