お魚をたっぷりのお野菜と共に
あと、アミューズから先程のスープ料理を食べてきて私が感じたのは、シェフの作られる料理の味はどれも「無垢」(ピュア)なイメージなんですよね。透明度があるというか、無駄な雑味が一切なく、素材が持つ真味だけを重ね合わせる感じ。
例えば、添えられた温野菜。20種類の野菜(大原産)、一つ一つにそれぞれ的確な火入れが施されており(京唐菜だけはフリット仕上げ)、各野菜が持つ真味が明確に伝わってくるんです。火入れすることで、野菜を活かすというよりも、生かす。つまり、野菜を生き返らせる、と表現したくなるぐらい野菜が美味しい。
ひょっとするとシェフは野菜と会話できるのでは!?と思ってしまうぐらい、それぞれの野菜が持つ個性やポテンシャルを引き出されていますし、これだけの温野菜を、敢えて魚料理のガルニチュールとして供すところがスゴい。
シェフに「これだけ素晴らしい野菜料理を、なぜ、ガルグイユのように一皿の料理として出されないのですか?」とお聞きしたところ、「京都人は子供の頃から当たり前のように地元の野菜を食べていますから、野菜を特別なものとして考えたことはありません。ですからお客様にも当たり前のように野菜を召し上がっていただきたいので、敢えてガルニチュール(添え物)として、お出ししています」とのこと。
私も京都人なので、子供の頃から京(地)野菜を普通に食べてきた1人ですし、シェフのこの考え方には共感できますが、その考え方をレストランでも貫かれるシェフの意識の高さには感服です。
・dessert-1
さくらんぼのプリン
ホワイトチョコレートというと、クドいから苦手という人も少なくないと思いますが、このデザートのホワイトチョコレートのムースは、控えめな甘さで、ホワイトチョコレート独特のクドさは全くありません。どちらかと言うと、私もホワイトチョコレートは苦手なほうですが、このデザートに関しては、むしろもっと食べたい!と思うほど。思わず「おかわり」したくなる、甘美で上品な仕上がりでした。
・dessert-2
宮崎マンゴーとウフ・アラ・ネージュ 黒糖のバーバパパ
黒糖で造られた綿菓子部分(バーバパパ)の下はウフ・アラ・ネージュで、中は青紫蘇のソース入り。これにミルクのソルベと宮崎マンゴーが添えられた一皿です。
最近の日本のレストラン(ビストロも含めて)では、「ウフ・アラ・ネージュ」をメニューに載せている店は本当に少なくなっていますし、「ウフ・アラ・ネージュ」というだけでも今や貴重なデザートともいえますが、それをこれだけエレガントかつ贅沢仕様で甦らせたシェフのセンスの良さと、フランス愛に拍手を送りたいですね。全国の「ウフ・アラ・ネージュ」好きさん達、全てに捧げたくなる逸品。エクセラン!
・mignardise
cafe&mignardise
最強スペックを備えた一軒
バターは「無塩」と「生ハム」を混ぜたものの2種
大阪でハジメさんが開店した時(訪問した時)、「ついに大阪のフレンチシーンも変わるな」と時代のウネリを確信しましたし、神戸にカ・セントさんがオープンした時も同じ。たった一軒のレストランが、地域を、時代を変えるコトがあるものなんですよね。
そして、ついに京都にも時代を変えるであろうレストランが誕生。いよいよ京フレンチにも次世代シェフ達による新時代が到来しそうです。
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・店名: レストラン MOTOI
・所在地:京都市中京区富小路二条下ル俵屋町186
・アクセス:京都市営地下鉄東西線「京都市役所駅」徒歩約6分
・地図:Yahoo!地図
・TEL:075-231-0709
・ドレスコードあり
・営業時間:12:00~13:30(LO)、18:00~20:00(LO)
・定休日:水曜日(終日定休)、木曜日(ランチのみ定休)