未来を形にしたタワーマンション
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ただ、これからのタワー市場を占うにあたり、吟味すべきひとつは「間取り」。タワーマンションそのものが珍しく無くなったいま、眺望や構造だけで差別化をはかるのは難易度が高いといえる。だからこそ、肝心の住み心地をとことん追求しようではないかということだ。
住み心地に直結する要素はいくつかあるが、タワーほど「間取りの出来栄え」で優劣がはっきり分かれる建物は珍しい。そして、これも重要なポイントなのだが、設備や構造、防災などにくらべ、間取りだけは新しい物件が優れているとは言い難いのである。
「この間取りの特徴と思われる点を7つあげよ。」が、予想を大きく上回る閲覧数を示した。これは読者の間取りに対する関心の表れだろう。そこで、今回は「伝説の間取り」ともいうべきプランをひとつご紹介しよう。
地価が底をつく直前
マンション名は「ザ・パークタワー東京サウス」。住所は品川区東五反田。交通アクセスはJR山手線「大崎」駅から徒歩3分。大崎五反田地区再開発の一画である。建物は地上30階建て、総戸数は239戸。分譲主は三井不動産で竣工は2001年6月。90年代後半、マンション市場は消費税増税(3%から5%)や山一ショックを受け、低迷。ITバブルが唯一の明るい材料であったが、今から振り返ると、首都圏の地価は(マンション分譲単価と置き換えても良いが)、2002年の底を打つまで下降線をたどっていた。そのなかにあって、当時工場街のイメージが残る大崎エリアで、坪単価300前後という価格設定で業界を驚かせたのが、この「ザ・パークタワー東京サウス」である。
しかし、モデルルーム公開でさらに驚愕したのは、その独創的な建物のプランニングである。4~17階(ベーシックフロア)では天井高(リビングダイニング)2,450mm~2,500mmと一般的な高さだが、19~27階(スカイハイプラン)では同2,550mm~2,650mm、29、30階(ペントハウス)は2,600mm~2,650mmに。そして18階と28階(11フィートレジデンス)では、同3,500mmという未体験の空間をしつらえたのである。