ストレス/年代別・世代間のストレス

35歳限界説を嘆く前に知るべきミドルエイジの能力(2ページ目)

転職や結婚で囁かれる「35歳限界説」。しかし、ミドルエイジだからこそ発揮できる知能の使い道を知っている人は、いたずらに年齢を怖れません。「もう若くない」と溜息をつく前に、今だからこそできるミドルエイジの生き方のヒントをお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

結晶性知能はたくさんの場で求められる能力 

middleage4

たとえば職場には「年の功」で解決に結びつく問題がたくさんある

こうした若者の多い業界では、ミドルエイジが結晶性知能を駆使してマネジメントすることで円滑に回っていく場面がよく見られます。

過去の経験や知恵を生かし、物事を俯瞰的に見ながら合理的な対処を判断したり、人間関係のように複雑で難しい問題に冷静に対処する。こうした仕事は、結晶性知能が蓄えられてこそ可能になるものだからです。

このように、ミドルエイジは培ってきた経験や知恵を生かし、この年齢だからこそできる行動がたくさんある年齢です。新しい物事との出会いを恐れずに求めていけば、結晶性知識を生かせる場面は確実に広がっていきます。

とはいえ、流動性知能を諦めていいというわけではありません。新しい知識との出会いは今後も常に訪れていくのですから、新しい情報に触れ、繰り返し学習していくことで、流動性知識も伸ばしていくことができます。
 

「停滞性」に陥る前に考えるべきこと 

middleage5

不安と不満に埋もれていく前に年齢ならではの自分の生かし方を考えよう

アメリカの心理学者エリクソンは、ミドルエイジ(主に40代、50代)の発達課題は「生殖性」であると説きました。つまり、ミドルエイジは何かを「育てる」ことに関心を持つ年代だということです。

生殖性は子育てのみを意味するのではありません。築いてきた知恵や経験を生かして部下を育てたり、新しい事業を興したり、自分が生み出した作品や仕事を高めていく。このように広く「育てること」を意味するのです。

この生殖性に目覚められないミドルエイジは、「停滞性」に陥る危機をはらんでいます。停滞性とは、自分のことにしか興味を持てず自己に没頭し、人格が停滞していくことです。「35歳限界説」に振り回されて年齢とともに低下していく能力を振り返り、自分自身の殻に閉じこもってしまうのは、停滞性の危機に向かう一例でしょう。

ミドルエイジを生きる意味を受け止め、この年代だからこそできる自分自身の生かし方、自分自身の魅力に気づけば、停滞性から脱していけます。そのためにも、ミドルエイジは今を生きる自分に自信を持ち、積極的に外の世界と関わっていきましょう。そうすればきっと、これからをどう生きるべきかという自分なりの「人生の設計図」が少しずつ見えてくるのではないかと思います。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます