メールで疑心暗鬼になっていませんか?
メール文字だけでは相手の気持ちがよく分からない
たとえば、友人間で末尾に絵文字がついていないメールを見ると、「あれ、この人怒ってるのかな?」と感じたり、「○○してね」という文の後に「!」マークがついているだけで、押しつけがましく感じたりします。さらにはパソコンメールでも、時候のあいさつのないメールや、ちょっとしたエピソードや感想を織り込んでいないメールを見ると、冷たく、ゆとりのない印象を感じてしまったりします。もちろん、メールを送っても数日返信がこないと不安になってきます・・・・・・。
メールを始めた当初は「連絡だけに使うツール」という認識だったため、こんな気持ちになることはありませんでした。しかし、対面や音声での対人接触が激減し、コミュニケーションの多くをメールに頼るようになると、たった数行の文字だけが情報の頼りです。その少ない情報のなかから、相手の意図を最大限に読み取ろうとすると、あれこれ考えすぎてしまうものです。
その結果、相手にはそんな気持ちはないかもしれないのに、「この人は、私のことを軽視している」「クールな人だ」というように、相手のことを悪い方向にどんどん想像を膨らませてしてしまうのではないかと思うのです。
メールでは伝わらないノンバーバルなメッセージ
会って話すとたくさんのノンバーバルなメッセージを受け取れる
コミュニケーションは、大きく分けて「言語コミュニケーション」(バーバル・コミュニケーション)と「非言語コミュニケーション」(ノンバーバル・コミュニケーション)に分けられます。
バーバル・コミュニケーションは、言葉で伝えるコミュニケーションです。対面や電話を通じての言葉のやりとりや、メールや手紙などでの文字を使った情報がここに含まれます。一方、ノンバーバル・コミュニケーションは、表情やしぐさ、身ぶり手ぶり、姿勢、距離の取り方、目つき、声の大きさやトーンなど、言葉以外の手段で伝えるコミュニケーションです。
アメリカの心理学者のメラビアンの実験では、人と人とのコミュニケーションでは、話の内容などの言語による情報、つまりバーバルから得る情報は7%にすぎず、口調や話し方などの聴覚を通じた情報が38%、外見などの視覚を通じた情報が55%、つまりノンバーバルの情報が9割以上を占めているという結果があります。
この解釈には注意を要しますが、人はコミュニケーションにおいて、言葉以外からたくさんの情報を受け取っているということは事実です。
たとえば、「おめでとう」という言葉一つとっても、面と向かって話をすれば心から喜んで言っているのか、悔しさをにじませて言っているのかなど、雰囲気で察しがつきます。ところがメールの場合、ノンバーバルからくみ取れる情報が圧倒的に少ないため、「どっちなの?」と疑心暗鬼になりやすいのです。
末尾に笑顔の絵文字でもついていれば、一応は好意だと伝わります。とはいえ、実際に相手の表情を見ているわけではないので、その絵文字にどれだけの思いが込められるのかは察知できません。たとえ純粋に祝福を送っていたとしても、180度違う意味に解釈され、悪感情を抱かれている可能性もあるのです。