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日本全土のうち、宅地はわずか5%しかない。

1992年(平成4年)8月に定期借地権が創設(借地借家法が改正)され、今年(2012年)でちょうど20年になります。月日が経つのは早いもので、本年で成人式を迎えることとなりました。

これまで、わが国では「土地はいったん貸したら返ってこない」「半永久的に戻ってこない」という借地人に優位な法体系が長らく堅持されてきました。そのため、そのことが地主の「土地を貸し出そう」という意欲を減退させ、結果として地主の貸し渋りを助長させてしまいました。

読者の皆さんは、ご存じだったでしょうか。日本の面積およそ3780万ヘクタールのうち、宅地は約190万ヘクタールしかありません。割合にして国土の約5%しか住宅を建設できる土地(宅地)は日本にないのです。にもかかわらず、こうした貸し惜しみによって土地の需給バランスは供給不足に傾いていきました。需要に対して供給が追いつかず、地価の高騰要因にもつながっていきました。幸運にして「土地を貸しましょう」という地主が現われても、高額の権利金を要求される始末です。これでは土地取引が活性化されるはずもありません。

そこで、「地主には貸しやすく」、また、「借地人には借りやすく」なることを念頭に創設されたのが定期借地権制度です。地主の権利を強め、逆に借地人の権利を弱めるのではなく、より合理的・客観的な土地の賃貸借契約が実現することを目指しました。要は、両者の利害調整をしやすくしたのが定期借地権というわけです。そして、目的に応じて地主が使い分けられるよう、3種類の借地権が創設されました(図表1)。現在も事業用借地権の契約期間が一部緩和されたほかは、20年前(法施行時)と変わらず同じ内容のままです。
3種類ある定期借地権

 

予算の範囲内で「都心立地」あるいは「広い専有面積」のマンションが手に入る魅力 

こうして近年、定期借地権を活用した分譲マンションが都心部を中心に散見されるようになりました。消費者の価格や質に対する目が厳しくなる中で、以下の魅力に引かれ、定期借地権マンションが選好されるようになっています。

  1. イニシャルコストが低く抑えられる
  2. そのため、同じ予算内でより都心立地の物件あるいは専有面積の広い物件を検討対象に追加できる
  3. 敷地部分の固定資産税・都市計画税の負担がない
  4. 将来の建て替えを心配する必要がない

【図表2】は、全国の定期借地権マンションとその周辺の所有権マンションとの価格を時系列で比較した表です。あくまで全国ベースではありますが、平均すると2割程度、定借マンションのほうが安いことが分かります。専有面積82平方メートルの新築マンションが2346万円で手に入るわけです。厳しい予算制約のある人にとっては嬉しい限りです。敷地が所有権か借地権かの別にこだわらない人にとっては魅力的なマンションと言えるでしょう。

定借マンションと所有権マンションの価格比較

 

また、将来の建て替えを心配する必要がない点も特筆に価します。わが国にはリゾート型マンションを含め、現在およそ10万棟の分譲マンションがありますが、国土交通省の調査によると、建て替えにこぎつけた分譲マンションは149件(2010年4月現在)しかありません。全体のわずか0.15%にとどまっています。

少子化・高齢化の進展により、子供や孫に資産を残す必要性が薄れるなか、何が何でも所有権という発想はかえって自らの首を絞めかねません。困難を極める将来の建て替えから解放されるメリットは、特筆すべき重要な定借マンションのプラス要因です。「所有」から「利用」へと人々の住宅観が変化のきざしを見せる中にあって、借地権マンションの存在価値は増幅していくものと私ガイドは考えています。

次ページでは、定借マンションの課題について考察することにします。