キレイ&元気に暮らすために必要な食事力について考えよう
バランスのよい食事って何でしょうか? 「一汁三菜」、「1日30品」などがバランスのよい食事だと唱える人もいます。バランスのよい食事とは、体や心の不調、病気を引き起こすことなく、生活の活力が十分得られる食事だと私は考えています。日本人の食生活は多様化が進み、和食以上に洋食を食べる頻度が高い人も増えてきています。現代のライフスタイルの中では、一汁三菜などの食事の「形式」よりも、栄養のある食品を上手く食べる『食事力』が大切です。食生活は多様化しています。栄養に関する新しい考え方が必要ですね。
栄養バランスのよい食事をするには、一般的には外食、加工食品、コンビニのお弁当などを避け、自宅でバラエティーに富んだ食事を作るべきだと考えられています。ただ、常に新鮮な食材をストックし、自分にとって必要な栄養素とは何かを把握して、毎食たくさんの品数を調理できる能力なり、環境といったものは、なかなか望んで得られるものではありません。仕事に追われ、育児に追われるうち食に対する興味・関心は減退していき、食べる行為それ自体がないがしろにされているのが現実かと思います。しかし、少しずつでも栄養バランスに注意することで、将来の健康に大きな差が出るはずです。
『食事力』をつけるには、栄養について少し学ぶことも大切です。そうすることで一品料理や冷凍食品、レトルト食品、コンビニ食品などを使った食事でも工夫次第で必要な栄養素を摂ることもできます。また、栄養と体の関係を知ることで、不足しがちな栄養素を把握し、サプリメントにより補うこともできます。
それでは、女性が気になる健康・美容効果などを組み込みながら栄養素の説明をしましょう。
炭水化物
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。糖質を食べると、消化吸収されて血中で糖となり、この糖が体や脳の活動に欠かせないガソリンになります。米やパンなどの穀類のほか果物、牛乳、豆、芋に含まれています。そのガソリンは肝臓に蓄えられて、食間にはそこから供給されます。食事を抜くと、体の中のガソリン(血液中の糖)が少なくなり、イライラしたり、集中力が欠けたりしてきます。体だけではなく、心や頭に大切な栄養源にもなります。食物繊維には満腹感を与えたり、便秘を予防したり、大腸の善玉菌の環境を整えてくれたりと、女性にとって嬉しい健康効果がたくさんあります。雑穀米、雑穀パン、芋など、食物繊維の多い炭水化物を日常的に食べる習慣をつけることで、単なるガソリンとしての役割だけでなく、腸の環境改善など、複数の健康効果が期待できます。
タンパク質
タンパク質は体を作る栄養素で、体内では古いものと新しいものが常に入れ替わっています。タンパク質は体のなかでアミノ酸に分解されます。アミノ酸は、髪、爪、内臓、筋肉などの主成分でもあり、ホルモンや酵素などを作るのにも欠かせません。体で作れない必須アミノ酸があるため、食事から摂取する必要があります。特に、ホルモンや酵素に使われるアミノ酸の入れ替わりは速く、常に十分な量のタンパク質を摂取することが大切です。酵素は体内のあらゆる機能に欠かせず、ホルモンはそれぞれの器官が上手く機能するのに不可欠です。ダイエットをする女性は、カロリーを制限することに伴って、タンパク質が豊富な肉、卵、乳製品、乳製品などの食品を控える傾向があります。たんぱく質が不足すると、体は上手く働かなくなり不調をもたらします。肉よりも魚や豆を選び、肉を使うときは脂身の少ないものを選ぶと体重や脂質のクオリティー管理に効果的です。
脂質
特に女性の場合、脂質の摂取を極力抑えようという傾向がありますが、脂質はとても大切な栄養素の一つです。大切なのは摂取する脂質の質であり、体に良い脂質を選んで食べることで、臓器、神経、骨などを守ったり、体温等を正常に整えることができます。また、脂質は脳の正常機能にも必要な栄養素であるだけでなく、食事の消化、吸収、脂溶性ビタミンの運搬にも欠かせません。脂質の一種であり、魚やくるみなどに多く含まれるオメガ3脂肪酸には、コレステロールや血圧の改善に効果があるだけはなく、肌に潤いを与えたり、炎症などのトラブルを防ぐ働きがあります。オリーブオイルやキャノーラオイル、アボカド、ピーナッツなどに含まれる一価不飽和脂肪酸に、コレステロールを改善する働きがあるだけでなく、美しい肌を作るのにも欠かせない栄養素のひとつです。
脂身の多い肉、焼き菓子、スナック菓子などに含まれるバターやラードには、コレステロールを悪化させる飽和脂肪酸が多く含まれています。また焼き菓子、レトルト食品、マーガリンなどに使われているトランス脂肪酸は、悪玉コレステロール、動脈硬化、心臓疾患、ガン、免疫機能の作用、認知症、不妊、アレルギー、アトピーなど様々な悪影響が報告されているので控えるようにしましょう。
ビタミン
色が鮮やかなサラダ。材料をまぜるだけで見た目豪華に。
ビタミンが不足すると代謝に不具合があらわれ、疲労、記憶力の低下、肌荒れなどの不調を引き起こします。これらの不調を改善するには、不足しているビタミンやミネラルを理解し補う必要があります。ビタミンは野菜や果物だけでなく、肉や乳製品などにも豊富に含まれていることを大人の女性ならば知っておくべきです。
また、ビタミンを食事から十分に摂取することで、ガンや心臓病になるリスクを減らしたり、慢性病の予防や改善などにも効果があるだけでなく、医療の現場でもうつ、PMSなどの改善に使われているなど、様々な健康効果が期待できます。
ミネラル
ミネラルとはカルシウムやナトリウム、マグネシウム等の栄養素を指します。体重の4~5%はミネラルによって構成されており、カルシウム、リン、マグネシウムのように骨作りに使われるほか、体内の水分調整、酸とアルカリの調整など様々な働きがあります。美容にも大切な栄養素で、例えば亜鉛やセレニウムなどは肌の弾力やにきびの改善に役立つといわれています。ほとんどのミネラルは成長や生命活動に欠くことのできない必須ミネラルで、食事から直接摂取する必要があります。ミネラルはお互いが複雑に作用しあい、吸収、利用、蓄積に影響を与えます。サプリメントを摂る場合は、摂取量のバランスとタイミングを考えることも大切です。
水
人間の体の約2/3は水分です。水は栄養を体中に送り、体に不要なものを排出する役割があります。またみずみずしいお肌の維持にも欠かすことができません。女性が気になるビタミンCなどの水溶性ビタミンを使うのにも必要なうえ、体温のコントロールにも重要な役割を果たします。人間は食事をしなくても数週間は生き延びることが可能ですが、水分がないと数日で命がつきてしまいます。水分は尿以外にも肌、呼吸などから失われていきます。喉の乾きを感じた時点では既に脱水状態です。一日にたっぷりの水をとりましょう。それで、どれだけ食べればいいの?
実際にどれくらいの頻度で、どれくらいの量を食べればよいのか。目安を追って見てみましょう。■女性が元気にキレイに暮らすための食事の目安
□果物を1日2回(いちご、ブルーベリー、みかん、キウイなど)
□乳製品を1日に1回以上(チーズ、ヨーグルトなど)
□野菜を1日手のひら5杯分以上(ほうれん草、人参、トマト、ブロッコリーなど)
□豆、豆製品を1日1回以上(豆腐、納豆、黒豆、あずきなど)
□雑穀パン、玄米、麦飯などの雑穀を1日1回以上
□水を1日にコップ8杯
□発酵食品を1日1回以上(ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌など)
□ナッツ類を1~2日に1回(くるみ、アーモンド、ピーナッツなど)
□魚を週に3回以上(いわし、さんま、さば、まぐろ、さけなど)
■女性が元気にキレイに暮らすために食事で心得ておきたいこと
- 自宅ではオリーブオイル、キャノーラオイルを使う
- トランス脂肪酸が入ったマーガリンなどを日常的に使わない
- 間食をする場合には出来ればヨーグルトやナッツ、ドライフルーツなどシンプルなものを食べる
- 食品は同じメーカーの物ばかりを買わない。食品には様々な物質が含まれていますが、色々な販売元の商品を買う事で、特定物質の過剰摂取を抑えやすくなるかもしれない
- 食事がストレスにならないように、栄養のある食品を上手く食べる『食事力』をつける