栄養管理/栄養管理の基礎知識・食事バランスガイド

知っておきたいサプリのあれこれ

サプリメントの摂取タイミング、安全性、副作用、天然と合成の違いなど、ちょっと気になるような情報をまとめてみました。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド


サプリはいつ飲めばいい?

一般的に食事と一緒に摂るのがよいと言われています。これは栄養素は他の栄養素と複雑に相互作用をしながら消化吸収されるためです。脂溶性のビタミンであるビタミンA、D、Eなどは油を含んだ食事の時に摂取するとよいでしょう。よく分からない時は、製品のラベルの情報に従ったり販売元に問い合わせてみましょう。

個人によってはサプリメントを摂取するタイミング、特に空腹時に摂ると軽い吐き気や胸焼けが見られることもあるようです。夜寝る寸前に摂取すると胸焼けを起こさないという人もいます。自分の体調をみて、摂りやすいタイミングに摂取するのが、一番よいと考えられるでしょう。

一方で、摂取タイミングによって、吸収力の違いが確認されているサプリメントもあります。カルシウムは吸収能力の限界から、一度の摂取は500mgまで、炭酸カルシウムの場合は食事と一緒に、クエン酸カルシウムの場合はいつ摂取してもよいことが分かっています。また、鉄は空腹時に摂取すると吸収率が上がります。

サプリ

どのサプリがいいんだろう・・・

安全性、副作用をチェックする

健康改善のためにサプリメントを摂っているのに、逆に害になっては意味がありません。最近では、食品の安全についても関心が高くなってきています。サプリメントも同じで、原料の質や加工法などによって、製品の質が大きく左右される可能性あります。例えば、植物由来のサプリメントは、その植物がどこで栽培され、どのような肥料や農薬が使われたのか、新鮮なうちにきれいな工場で加工されたのかにより質が影響されます。

サプリメントには含まれる材料がラベルに記載されていますが、中身と記載が異なるケースも報告されています。安全性を高めるためにも、信頼できるところから購入するようにしましょう。安全性などについては、下記のウェブサイトで確認をするのもよいでしょう。ガイドが以前紹介していたハーブで最近になって注意喚起されたものもあります。確認することって大切です。

東京都健康局食品医薬品安全部

栄養情報はどこで入手すればいい?

下記に掲載しているサイトで栄養素の働きや食品の成分について調べることができます。情報をトータル的にまとめて活用するには、管理栄養士などの専門家と相談するのもよいでしょう。ウェブサイトは手軽な情報源ですが、本当に信頼できる人が運営しているサイトなのか必ず確認しましょう。

栄養学は日々変化を続けています。例えば、2005年の改定で、必要なビタミンDが約2倍になったり、妊婦・授乳婦には多めのカルシウムが必要とされていたのが取りやめになったりしています。2010年には高齢者に必要とされるエネルギー量が増加したり、食塩摂取の目標量が下げられたりしました。日本で今も浸透してる、アメリカ発のがん予防の食のピラミッド(デザイナーズフーズ)は約25年前の栄養学で、現在のアメリカでは使われていません。いつの情報なのかを確認するのもとても大切なことです。

独立行政法人 国立健康・栄養研究所、「健康食品」の安全性・有効性情報

独立行政法人 科学技術振興機構(JST)、食品成分データベース

天然と合成はどう選べばいい?

天然の方が良いと考えている人も多いようです。実際のところは、どちらが良いのかはっきりしていない部分も多く、個人でその利点と弱点を理解して選ぶしかありません。例えば、ビタミンCの天然サプリメントの場合、ビタミンC以外にもその原料に含まれる栄養素も摂取することができます。

天然のものは、合成のものよりも吸収率が高いとする説もあります。しかし、ビタミンCのサプリメントがオレンジから作られたとすると、オレンジによってビタミンCの含有量が異なるので、製品のビタミンCの量にばらつきが出る可能性もあります。また、そのオレンジが新鮮だったか、どこでどのように栽培されたか、衛生的に工場で加工されたのかなど注意する必要があります。

一方、合成で作られる製品は、純粋で異物の混入が少ないとも言われています。当然、天然のものは、その原料のコストの関係で、サプリメントの値段も高くなります。コスト、安全性、効果などをトータル的に考慮して、自分に合ったサプリメントを探すようにしましょう。

サプリを過剰摂取するとどうなる?

余分な栄養素は体内から排除されると思っている人はいませんか? 水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、ミネラルなどの過剰摂取は副作用の危険性があるので注意するようにしましょう。

例えば、水溶性ビタミン6の過剰摂取は手足の神経障害を起こしたり、脂溶性のビタミンDの過剰摂取は、吐き気・嘔吐、困惑などを起こす可能性もあります。ミネラルであるカルシウムを過剰摂取すると、その他のミネラルが上手く吸収されなくなります。

サプリメントは摂れば摂るほど効くというものではありません。必ず推奨されている摂取量、上限量を確認してから摂取するようにしましょう。また、ビタミン・ミネラル以外のサプリメントもラベルに記載された摂取量を守りましょう。体調に異変が見られたら直ちに摂取を中止するようにしましょう。

サプリメント摂取において注意する点は?

  • ダイエット、滋養・強壮に関するサプリメントは、特に健康被害に注意する必要があります。使用前に必ず安全性を確かめるようにしましょう。
  • 鉄のサプリメントが推奨量を超える場合は、必ず医師と相談するようにしましょう。鉄の過剰摂取は、鉄沈着などを起こし臓器障害の原因になることがあります。
  • カリウムは、むくみや血圧のコントロールに役立つと言われていますが、サプリメントで過剰摂取をすると心臓の機能などに影響を与え、生命に危険を及ぼす可能性も否めないので、自己判断で摂取するのはやめましょう。
  • 喫煙をしている人がベータカロチンのサプリメントを摂取すると肺がんのリスクが高くなると言われているので注意しましょう。
  • イソフラボンは大豆などに含まれ、骨粗しょう症や更年期障害を改善すると言われています。しかし、サプリメントから多く摂取した場合は、乳がんとの関連が示唆されています。食品安全委員会によると、特定保健用食品としての、大豆イソフラボン(大豆イソフラボンアグリコン)の安全な一日上乗せ摂取量の上限値を30mgとしています。
  • 薬を服用している人は、処方時に医師か薬剤師に薬と栄養素の相互関係をチェックしてもらいましょう。薬は栄養素を枯渇させたり、サプリメントが薬の効き目を悪くしたり、逆に効きすぎるようになることもあります。例としては、血管内で血液が固まるのを防ぐ薬を服用している人がビタミンKの摂取量に注意を払わないと薬が効かなくなったり、一部の抗生物質とカルシウムを一緒に摂取すると抗生物質が効かなくなるなど問題を起こすことがあります。

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