日々、様々な業種の起業・独立の相談を受ける中で、常に多いのは飲食業での起業・独立開業の相談です。飲食業での起業・独立開業の場合、特に悩ましいのは多額の開業資金をどうやって調達するかという資金面のこと、会社設立、物件取得、資金調達をどういう順序で進めて行けばよいかというスケジュールのことです。今回は、飲食業で起業・独立開業する場合の流れ、注意点についてのノウハウを公開していきます。
 

1.コンセプト作り

コンセプト作りをしっかりと行うことが重要

コンセプト作りをしっかりと行うことが重要

飲食業で起業・独立開業するための第一歩はコンセプト作りです。苦労してようやく自分の店を持てるところまできたのですから、すぐにでも物件探しに入りたい気持ちはよくわかります。ただ、その前に、じっくりとコンセプト作りをしておくことが大切です。コンセプトが甘いまま進んでしまうと、業態と物件の立地が合わず、なかなか売上が上がらないという状態に陥る可能性もあります。

また、複数での共同経営の場合、この段階で方向性を良く話し合っておくことが重要です。ここでの話し合いが不十分だと、後で目指す方向性の違いが表面化し、協力体制が崩壊してしまう可能性もあるため注意が必要です。

検討を進めつつ、似たような業態の店に実際に足を運び飲食をしてみて、徹底的に調べましょう。そして、以下のようなことを検討していきましょう。

・どんな空間にするか
・どんな客層(性別、年齢、職業、住まい、勤務先など)向けにするか
・店のメニューで一番の売りは何にするか
・客単価はいくらくらいにするか
・どんなサービス内容にするか
・出店エリアはどの辺にするか
・営業時間帯はいつにするか
・店の名前は何にするか
・開店の目標時期をいつにするか

飲食業での経験が浅い場合は、外部のコンサルタントを交えて進めることをオススメします。

2.資金計画、資金調達準備(事業計画書作成)

物件探しの前に、もう一つやっておくべき重要なこと。それは資金計画と資金調達の準備(事業計画書の作成)です。最初に収支計画のざっくりとしたイメージを描きましょう。

まずは売上計画を検討してみます。
・客単価を想定
・面積から席数を想定
・席数、客席稼働率、客席回転数から客数を算定
・営業日数を想定
という順序で月の売上額のイメージが描けます。

そして一般的な飲食業での売上に対しての経費率、利益率のモデルは以下の通りです。
材料原価率(F) 30%~35%
人件費率(L)    20%~25%
家賃       10%~15%
経費率      10%~15%
利益          10%以上

材料原価率(F)と人件費率(L)を合わせてFLコストといいます。このFLコスト率が55%~60%程度に収まるようにコントロールできるかが経営のカギと言われています。食材の質を落とさずに廃棄ロスを抑える、ムダのない採用やシフトで人件費を抑えるなど経営努力が必要です。

また、経営上、物件の家賃負担が許されるのは売上計画の15%程度までです。それ以上の家賃の物件を押さえることにはリスクがあることをよく認識しておきましょう。

具体的な事業計画書の作成ノウハウについては、事業計画書の書き方をご覧ください。

3.雇用の形態、助成金受給の可能性を検討

飲食業での起業・独立開業は多くの人手を必要とし、従業員を雇用することが多いため、人の雇用に関する助成金を受給できる可能性があります。そのため、助成金受給の可能性について起業前にチェックしておくことをオススメします。特に受給資格者創業支援助成金の要件に該当している場合、会社設立前に手続きを開始しておく必要があるため、注意してください。

詳しくは、起業・独立時に従業員を雇用するノウハウご覧ください。

 

4.会社設立

経営形態は個人事業にするか会社にするかを検討しましょう。会社設立を選ぶ場合、基本的に物件契約の前に会社設立をしておく必要があります。

会社にするか個人事業にすべきか、会社設立手続きのノウハウについては、法人と個人事業との違い初めてでも大丈夫!法人設立手続きをご覧ください。

 

5.物件探し

さぁ、いよいよ物件探しです。希望するエリアの物件を扱う信頼できる不動産業者を見つけるために行動しましょう。居抜き物件が希望の場合は、居抜き物件に強い不動産業者を選ぶことをオススメします。不動産業者にはどんな物件を希望するのかできるだけ具体的に伝えることが希望物件を見つけるためのポイントです。

・希望出店エリア
・希望する家賃、保証金等の水準
・繁華街、オフィス街、学生街、ロードサイド
・主導線、副導線、裏通り
・1階、地階、2階、3階以上
・特殊な設備が必要かどうか など

不動産業者から物件の提案を受けたら、実際に現地を案内してもらいましょう。案内を受け、相場観を養いながら、同時にそのエリアの調査を進めます。駅からの導線、周りの飲食店、競合店のチェック、歩いている人の層など。居抜き物件の場合、立地など何かの原因があって経営がうまくいかなかった可能性があります。前オーナーが経営に失敗した理由もできるかぎり調べておきましょう。

飲食業での起業・独立開業が成功するかどうかのポイントは、この段階にあるといっても過言ではありません。どこのエリアに出店するか、どの物件を取得するかが売上に直結してきます。飲食業の経営に関わった経験が少ないと感じているなら、不動産業者ではなく、第三者的な立場で物件選びにアドバイスをしてくれる外部のコンサルタントを交えて物件探しをすることをオススメします。