ある程度の規模以上のビジネスで起業・独立するとき、役員のマンパワーだけでは足りない状態となります。そこで必要になるのが従業員の採用。起業・独立後に一番難しいのは、最初の従業員をいつ、どんな風に、どんな待遇で採用し、どうやって人事管理していくかです。ただ、従業員を雇用するのは初めてという社長がほとんどですから、いろいろと失敗してしまうことが多いもの。起業コンサルタント(R)、特定社会保険労務士であり、人事部での経験、人材紹介会社の役員経験もあるガイドが、起業・独立時の採用、人事管理について解説していきます。

採用のタイミング

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起業・独立後に従業員を採用する時期を見極めよう

起業・独立後、最初の従業員採用はいつ頃がよいでしょうか。起業・独立した以上、早く従業員を雇用したいと考える社長さんが多いかと思います。ただ、ガイドの起業支援経験からすると、どうしても最初から従業員が必要な業種以外は、事業が軌道に乗る前の最初の数ヶ月は役員だけで回していった方が良いことが多いです。

安定した売上が確保できていない間に従業員の給料を支払っていくことはかなり大きな負担となるからです。また、会社を立ち上げてから最初の数ヶ月は事業を軌道に乗せる準備でとにかく社長は忙しいもの。自分が何から何までしないと何も先に進まないという状況に陥ります。そんな中、従業員への教育や指揮命令のことも考えるというのはかなり大変です。特に未経験者を採用する場合は注意が必要です。

一度、従業員を雇用したら様々な責任が発生します。業績が悪くなったからといって簡単に解雇することはできません。労働基準法などの法律により、労働者として守られているからです。そして、家族も含めて従業員の生活にも責任を持つことになることをお忘れなく。事業計画や景気動向も考慮し、慎重な採用計画を立てましょう。

待遇条件を検討しよう

従業員採用を決意したら、役職、給与体系、休日、勤務時間などの待遇条件を決める必要があります。基本給の他にどういう手当をどんな基準で支給するのか、賞与、退職金などを支給するのかなど長期的視野で賃金体系を検討します。

最初から基本給を高めに設定してしまうと、給与が固定費化し、重い人件費負担が重くのしかかるケースが失敗パターンとしてあります。最初から基本給を高めに設定するのではなく、能力、勤務態度、業績などにより、賞与やインセンティブ給で報われるという給与体系にすることがオススメです。

給与の他にも社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)、雇用保険料、労災保険料、定期代などの通勤交通費、備品(机、イス、パソコンなど)、福利厚生費など、給料以外にも少なくとも2割から5割のコストがかかることを認識しておきましょう。これらを考慮せずに賃金を決め、後になってから大きな負担に気づくという失敗もありがちです。ご注意ください。

4つの採用方法から検討しよう

採用方法には、縁故を当たる、ハローワークで求人をする、ネットなどの求人媒体に掲載する、人材紹介会社に依頼するなどの方法があります。それぞれのメリット、デメリットなどを確認していきましょう。

1.縁故を当たる
起業・独立後の最初の従業員を採用する際、まずは知り合いを当たるパターンが多いです。特に、以前の職場で一緒だった同僚、後輩、部下などであれば、経験や能力も把握していますし、気心知れているので安心感がありますのでオススメです。採用募集費用もかからないのがメリット。

ただ、注意しなければならないのは前の会社に在籍中の人を勧誘するパターンです。引き抜きと誤解されかねない状況では、そのように誤解されないような気遣いが必要となってきます。法的なリスクについても検討し回避するように進めることが求められます。

2.ハローワークで求人をする
ハローワークで求人することのメリットは、何と言っても無料で採用募集できるということ。
デメリットとしては、ハロワークの場合、既に退職していて求職活動をしている人などに限定されるため求人範囲が狭いことです。

3.ネットなどの求人媒体を掲載する
ネットなどの求人媒体を利用するメリットとしては、会社に在籍しながら転職活動をしている人も含め一定の層の応募が期待できるということです。
デメリットとしては、ある程度のコストがかかること。正社員の採用には、1週間から2週間の掲載で25万円から40万円ほどかかります。また、採用面接の受付、書類選考、採用面接、採用不採用の通知など全て自前で行うことになりますので、非常に時間と労力がかかります。

4.人材紹介会社に依頼する
人材紹介会社に依頼する一番のメリットは、こちらの要望に添った人材をピンポイントで紹介してもらえるということです。そして、採用面接以外の採用手続き(採用面接の受付、書類選考、採用不採用の通知など)を外注できることです。時間的にも労力的にも楽になります。
デメリットとしては、入社時に人材紹介会社に対する成功報酬として年収の25%から35%程度の紹介手数料を支払わなければならないことです。