起業・会社設立のノウハウ/従業員の雇用・求人

起業・独立時に従業員を雇用するノウハウ(2ページ目)

ある程度の規模以上のビジネスで起業・独立するとき、役員のマンパワーだけでは足りない状態となります。そこで必要になるのが従業員の採用。起業・独立後に一番難しいのは、最初の従業員をいつ、どんな風に、どんな待遇で採用し、どうやって人事管理していくかです。ただ、従業員雇用は初めてという社長がほとんどですから、失敗が多いのも事実。社労士でもあるガイドが起業・独立後の従業員採用、人事管理について解説します。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド



採用基準を検討する

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採用基準をどこにおくかはとても重要です

起業・独立後の従業員採用ではどんな人物を採用すればよいかを検証していきましょう。

図をご覧ください。スキル・経験と人間性、二つの面から人材を分けた場合、4つのゾーンに分けることができます。
まず、通常の選球眼を持っていれば、スキル・経験もなくて人間性も良くない人Aのゾーンの人は採用しませんよね。逆にスキル・があって、人間性も良いDのゾーンの人材が会社として一番採用したい人物なはずです。ただ、求人市場には滅多にいないし、起業・独立したばかりで給料も比較的安く、経営も不安定なベンチャー企業がDのゾーンの人材を採用するのはかなり難しいと思われます。

スキル・経験があっても、人間性が良くないBのゾーンの人材には要注意 です。資格、経歴や過去の華々しい実績に目がくらんで、このゾーンの人材を採用してしまうと、後で痛い目に遭います。入社後のトラブルなどで相談を受けることが多いのはだいたいBのゾーンの社員についてです。ご注意ください。

Cのゾーンは今はスキル・経験はなくても、人間性が良い人材。Bの人材がDになる確率より、Cの人材が入社後に教育を受け経験を積む中でメキメキと力をつけ、Dになる確率の方が高いのは言うまでもありません。これから会社が発展していく過程で必要な人材となるはずです。ここのゾーンの人を採用すべきです。

採用面接は短い時間ではありますが、じっくりと話をきいて、こういった人間性ややる気、のびしろなどをしっかりと見極めましょう。

助成金を受給できるケースも

採用方法、採用時期、採用する従業員の経験、待遇などによっては、国から返済不要の助成金を受給できることがあります。事前に検討することをオススメします。起業・独立時の代表的な助成金として代表的なものに以下があります。もし、受給できそうであれば、助成金の要件に合わせて採用のタイミング、採用基準についても考慮しましょう。

■受給資格者創業支援助成金
受給資格者創業支援助成金は、失業後に雇用保険の受給資格者になった方が起業し、起業後1年以内に雇用保険の適用事業の事業主となった場合、その事業主に対して起業に要した費用の一部について助成する助成金。助成金額は、最大200万円まで。

■中小企業基盤人材確保助成金
中小企業基盤人材確保助成金は、起業に伴い新たに経営基盤の強化に資する労働者(基盤人材)の雇入れを行った場合、その基盤人材の賃金に相当する額の一部として一定額が助成される助成金。助成金額は、最大700万円まで。

従業員採用後の手続き

新規に従業員を採用した後、様々な手続きが必要になります。主なものは以下の通りです。法律で決まったものもありますので、忘れずに手続きをしましょう。

1.入社時の手続き

■社内での手続き
  • 労働者名簿の作成
  • 労働条件通知書(雇用契約書)の作成・交付
  • 扶養控除申告書のへ記載、保管
労働基準監督署への手続き
  • 適用事業報告の提出
  • 36協定(時間外労働及び休日労働に関する届)の締結、提出
  • 労働保険の新規加入
  • 就業規則等の作成、提出(労働者10名以上の場合、義務)
年金事務所への手続き 
  • 社会保険新規適用手続き
ハローワークへの手続き
  • 雇用保険適用事業所設置手続き
     
2.入社後に発生する手続き

■社内での手続き
  • 勤怠管理(タイムカード、出勤簿など)
  • 給与計算、給与明細作成、給与支給
  • 賞与査定、賞与計算、賞与明細作成、賞与支給
  • 昇級、昇格査定、実施
  • 年末調整
  • 源泉徴収票の作成、交付
  • 福利厚生の検討、実施
  • 定期健康診断の実施
     
年金事務所への手続き
  • 健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届の作成、提出
  • 健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届の作成、提出
  • 健康保険厚生年金保険被保険者賞与支払届の作成、提出 
労働基準監督署への手続き
  • 適用事業報告の作成提出
  • 36協定(時間外労働及び休日労働に関する届)の更新締結、提出
  • 労働保険年度更新手続き
税務署への手続き
  • 源泉徴収票の提出
■従業員居住市区町村への手続き
  • 給与支払報告の提出 
     

起業・独立直後の人事管理5つの基本

起業・独立して初めての従業員採用後、社長として人事管理をしていくにあたり、5つの基本だけは押さえておきましょう。

1.労働基準法を守る
労働基準法など労働法についての知識は経営者として必須です。休憩、時間外労働、深夜労働、休日労働、有給休暇など、労働法で決められている法的ルールについて勉強しておきましょう。また、社会保険労務士などの専門家に相談できる体制も整えておきましょう。

2.社内ルールの確立
従業員を採用して人事管理をしていくにあたり、はじめに社内のルールを確立することが必要です。そのまま長い間、企業文化になっていく可能性が高いので、よく検討しましょう。

ただ、よくある失敗パターンとしては、せっかく作ったルールについて社長がその都度例外を作ってしまうことです。一度社長が例外を作れば、その例外ルールはずっと生き続けます。数年前に社長が良いといったというような事が社員の間で一人歩きしてしまうということがあります。社長の言葉は本人が思うより重いです。注意しましょう。

3.平等に接すること
人事管理するに当たって、社員が一番嫌がるのは社員を平等に扱わないということです。人間ですから好き嫌いやウマが合う合わないはあるかもしれません。ただ、社員の数が少ないほど、各人の扱いの違いが露骨に現れてしまうことがあるので注意が必要です。

4.できる社員ばかりではないと心得る
入社してくる社員は全員が即戦力でバリバリとデキる社員とはかぎりません。それを社員本人の性格や能力のせいにしていても仕方ありません。社員教育をしてじっくりと育てるという視点を忘れずに。

5.理が7割、情が3割
社長は、『理』が7割、『情』が3割が最適のバランスだといいます。理ばっかりじゃ誰もついてこないし、情に流されてばかりじゃ利益は出ないでしょう。このバランスを常に意識して経営するべきです。


働きやすい環境作りを

会社の発展は、社員が働きやすい環境を作り、仕事で能力を発揮してもらってこそです。そのためには、常に社員のモチベーションを高く保つような人事管理をしていかなければなりません。といってもそれほど難しいことではないはずです。社長になると忘れがちですが、自分が従業員だったころの気持ちを思い出せばいいのです。従業員が生き生きと働いて、それによって会社も発展していく、そんな会社にしていきたいですよね。
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