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手紙や会話でよく使う慣用句5選……間違いはどこ?

会話や手紙の中でも、慣用句や四字熟語を用いることも多いもの。話がより具体的になったり、深みが出たりという良さもありますが、間違った使い方をしてしまっては、うまく伝わらないどころか、意味がまったく正反対だったなどという失敗にもなり兼ねません。

井上 明美

執筆者:井上 明美

手紙の書き方ガイド

<目次>

案外あやふやな慣用句5選……手紙や会話で使える!

手紙や会話でよく使う慣用句

会話や手紙でもよく使う慣用句や四字熟語も、意味を知り適切に使いましょう

「監督として采配を振るう毎日と聞いております」「なんて卑怯なんだろう、あんな姑息な手段を使うなんて」など、手紙や会話の中の言葉でも、慣用句や四字熟語などの言葉を用いることもあるものです。しかし、これらの言葉もうっかりすると、間違った言葉を知らずに使っていたということもよくあります。

先の例文もまさにその通り、間違いの例です。正しくは「采配を振る」、そして「姑息な手段」とは卑怯な手ではなく、一時の間に合わせ、一時しのぎの手段という意味です。
 
では、次の慣用句は、どこが間違っているでしょうか? よく使う慣用句を5つ挙げますので、考えてみましょう。
 

Q1.昨夜は寒気がして風邪をひき、高熱にうなされてたいへんだった

「うなされる」が間違い。正しくは「浮かされる」です。言葉の響きは何となく似ていますが、「浮かされる」とは、熱が高くて意識が正常でなくなるという意味です。それに対して、「うなされる」とは、恐ろしい夢などを見て、眠ったまま苦しそうなうなり声をあげたりすることという意味です。
 

Q2.皆がそれぞれ違ったことを言うものだから、けんけんがくがく まるで収拾がつかなくなってしまった

ケンケンガクガクが間違い。ケンケンガクガクという言葉はありません。それを言うならば、「かんかんがくがく」か「けんけんごうごう」といったところでしょう。この2つは似ているようでも意味は違います。侃侃(かんかん)諤諤(がくがく)とは、正しいと思うことをさかんに主張することという意。喧喧囂囂(けんけんごうごう)とは、たくさんの人がやかましくしゃべる様子を指す言葉です。
 

Q3.あまりのことに、取り付く暇もない

「取り付く暇」が間違い。正しくは「取り付く島もない」です。「取り付く島もない」とは、頼りにするような何の手掛かりもない、どうすることもできないような状態の意味です。どうすることもできないということから、余裕がない、ゆとりがない、暇がないことを連想するための誤りでしょうか。
 

Q4.二の舞を踏まないように気をつけたいと思います

失敗を繰り返さないと伝えたつもりが、逆効果になることも!?

失敗を繰り返さないと伝えたつもりが、逆効果になることも!?

「二の舞を踏む」が間違い。元来の正しい使い方は、「二の舞を演ずる(演じる)」です。「二の舞」とは舞楽の言葉です。案摩の舞の後で、その案摩を真似て滑稽に舞う、演じることからきたものです。そこから、前の人の真似をすること、前の人と同じような失敗を繰り返すたとえとして使われる言葉です。前の人の失敗を後の人が繰り返すことという意味の言葉に、「前車の轍を踏む(前轍を踏む)」という「踏む」が付く似た言葉がありますから、それとの混同かもしれませんね。
 

Q5.「こういうことにかけては彼は誰よりも目鼻が利く」

「目鼻」が間違い。正しくは「目端が利く」あるいは「目が利く」「目先が利く」です。「目が利く」とは、物のよしあしを見抜く力がある、鑑識力があるという意。「目端が利く」とは、その場の雰囲気などを見計らって機転が利くという意。「鼻が利く」という言葉はありますから、それといっしょになってしまった誤用でしょうか。

いかがでしたか? あまり考えることもなく、何気なく使ってしまう言葉ですが、見直してみると、まったく気付かずに誤った言い方を長年使っていた などということにもなり兼ねません。話に説得力を与えたり、深みを増したりする慣用句や四字熟語も、きちんと意味を知り適切に使いこなしたいものですね。

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