ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

フルマラソン2週前はハーフマラソンで最終チェック

フルマラソン2週間前。これからは走力をつけるというよりも走力を維持しながら体調を上げていく期間です。ところで、今のあなたが設定している目標タイムは妥当でしょうか? フルマラソンの2週前にハーフで最終チェック。より妥当な本番のペースが設定できます。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

<目次>

フルマラソン2週間前。目標タイムは現実の条件から

フルマラソン2週前はハーフマラソンで最終チェック

本番レースに準じた準備と仕度で2週前にハーフを走る

「順調に目標通りに仕上がって平静な気持ちで大会を迎えられそう」というよう人は滅多にいません。」予定をたてたスケジュールをこなしきれなかった」「やり残した練習がたくさんある」という方が半分以上でしょう。練習を順調にこなしてきた方でも「このままで目標タイムを達成できるのだろうか?」と疑心暗鬼になっている方もかなりいると思います。あるいは、体調を崩してしまい、「目標タイムをどのくらいに設定していいのかわからなくなってしまった」というような方もいるでしょう。

目標を達成するために立てた練習スケジュールをこなしたからといって、目標通りに走れる状態にあるかどうかは、また別の問題です。まして予定通りに練習をこなせなかった方は、自分のレベルがどの程度の段階にあるのか判断に迷うはずです。
 

最終のペース設定は走り出してからだが

箱根駅伝の出場選手を決めるチーム内の選考がかなりぎりぎりになる(早くても大会の1ヶ月ほど前、最終的には当日のエントリー変更もある)になるのは、本当のところは直前までわからないからです。レース結果を見ても、記録会のタイムが悪い選手が活躍したり、その逆であったりすることは枚挙にいとまがありません。長く走っているベテランランナーになると大きく変動することはあまりないのですが、若い選手や経験の少ない選手ほど思っても見ない好記録を出すということがあります。
最後は、自分の体に聞いてレース中でもコントロールすべきなのですが、そうはいってもひとつの目安としての、直近の走力と体調に基づく目標タイムを設定しておくべきでしょう。
 

ハーフで走力と体調をチェック

マラソンの場合、トップレベルの選手ですと、1~2ヶ月前のハーフマラソンで走力と体調をチェックすることが多いようです。

大会1ヶ月前以内ならそのレース結果を基本に目標レースの作戦をたてるでしょうし、目標大会2~3ヶ月前のレースにあたるなら、レースの結果をもとにその後の練習内容の調整を行うことになります。
 

ハーフを2週間前に

さて東京マラソン出場の経験の少ない市民ランナーにとっての最終チェックは、もう少しあとの大会2週間前が適当だと思います。すなわち2月12日前後ということになります。
サブ5目標の方もサブ3目標の方も、ここでのハーフマラソン大会出場をおすすめします。しかし、大会に申し込まれていた方はいいですが、今の時期から大会に申し込むことは不可能です。そんな方は、ペース走で走力を確認しましょう。ただし、練習のペース走だとは思わず、レースと思ってのペース走です。
 

本番レースのつもりでハーフにトライアル

数日前からの準備も大会前と同様に行い、スタート時からレースペースですから、スタート前に十分にウォーミングアップも行っておきます。
スタート時間も大会と同じに午前9時頃とし、それに合わせて起床し、食事を摂ります。すなわち5時には起床し、6時までには食事を摂ること。
ウエア、シューズもレースに準じます。
中間点あたりと15kmあたりに給水も準備します。
できることなら、同様のタイムを持った走友に一緒に競ってくれるように頼みます。
コースも途中で走りが中断されないよう、信号がある道や車の通行の多い道路を横断しなければならないコースを避けます。公園内や堤防などが適当です。
あらかじめコース上にkm表示を設定してある方が望ましいですが、無理ならセンサー付きの時計などで距離やスピードを確認しながら走りましょう。
 

強化ではないので無理な走りはしない

記録を出すことが目的ではなく、走力の強化を目的とするトレーニングでもないので、めいっぱいに走る必要はありません、というよりも疲労を残さないためと故障を避けるためにラストスパートのような無理はしてはいけないのです。
これは、個人的に行う場合でもそうですし、レースで走る場合もそうです。
十分に練習を積んできていて大会2週間前などというと、体調も良く感じられ絶対と言っていいほど速く走れてしまうものなのですが、ハーフの自己記録が出そうだとばかりに、調子に乗ってめいっぱいのラストスパートなどすると疲労を残してしまい、上がっている調子をまた落とすと言うことになりかねません。もっぱら快調走を心掛けてのレースモードで、ラストも特に力を入れることなくそのまま走り続けられるという状態でフィニッシュするという心構えで走ります。
 

ハーフの結果からフルのペースを設定する

フルマラソンとハーフマラソンのタイム相関図

フルマラソンとハーフマラソンのタイム相関図

その結果から2週後の目標とするマラソンレースの設定タイムを計算します。ハーフマラソンのタイムとフルマラソンのタイムの相関関係を導き出す数式は、
「マラソン練習メニューとフルマラソン想定タイム計算式」というページでご紹介しました。
例えばハーフが1時間50分かかったとしたら、フルマラソンの予想完走タイムは3時間55分24秒となります。
これをイーブンペースで走るとすれば、5分34秒/kmのペースとなります。もしサブ4を目標としているなら十分に達せ可能な状態にあると判断できます。
しかし、3時間50分を切りたいという目標を立てていたなら、目標達成は厳しいということになります。3時間50分で走るためには、ハーフを1.794時間(=約1時間48分)で走れなければならなかったのです。フルマラソンは5分27秒/kmのイーブンペースです。
1kmあたり7秒の差はわずかな差のように思えますが、ベストのパフォーマンスを発揮しようというレベルでのこの差はかなり大きな数字です。立てた目標を優先して走り始めた場合、後半に相当落ち込む可能性が高いでしょう。
それよりも、数式によって算出された数値によって走り出し、30kmになっても頑張れる体力が残っていたらそこからペースを上げて、落ち込みを防ぐどころか上げていった方が良いタイムが出るものです。

エクセルの使用や60進法に慣れていない方のために、フルマラソン3時間から5時間までの10分ごとのハーフ完走走力との相関図を掲載しますので利用してください、その間のタイムの場合は、正しくは一次方程式のように直線的にタイムが変化するわけではないのですが、その比率に応じたタイムを割り出してください。そう大きくは違わないでしょう。
 

当日は条件により、設定ペースを加減する

2週間前のハーフマラソンのレースあるいはレースに準じるようなタイムトライアルには以上の目的があります。
もしも、条件が悪い状態(暑かったとか、強風が吹いていたとか、アップダウンが激しいコースであるとか)で走ったのなら、実際の所要タイムから応分の時間を差し引いてかまいません。ただし、本番のレースで悪条件(天候が悪いとか、レースまでの間に体調を崩したというような時)が予想されれば、やはり応分の時間を目標としていたタイムに加えるという修正が必要です。

※数式から想定されるタイムは一般的な数値です。調整や天候だけでなく、アップダウンが多ければ、アップダウンへの対応力によって異なりますし、距離の経験度によっても異なります。参考値としてください。

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