相続時精算課税制度の確定申告
(住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例)2003年から導入された「相続時精算課税制度」は、贈与段階における税負担を大幅に軽減し、将来の相続時において相続税で精算しようとするもので、「相続税・贈与税の一体化措置」ともいわれます。
経済対策の一環として導入された「住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置」では、通常の特別控除額に加え、2010年は1,500万円、2011年は1,000万円の非課税枠が設けられています。
そのため、「相続時精算課税制度」による2,500万円枠と「住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置」による1,000万円枠(2011年に贈与を受けた場合)を合算して、住宅取得資金の贈与を3,500万円まで非課税とすることができます。また、通常の「相続時精算課税制度」では「親の年齢が65歳以上」という条件があるものの、住宅取得資金の贈与のときは親の年齢に関係なく適用することができます。ただし、2010年以降に「住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置」を適用する場合には、受贈者(贈与を受ける人)の年間の合計所得金額が2,000万円以下という制限が加えられました。
一方、通常の暦年課税制度による贈与の非課税枠(110万円)に「住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置」による非課税枠を上乗せすることもでき、合計1,110万円(2011年に贈与を受けた場合)の贈与までは無税となりますから、それ以下の贈与金額であれば相続時精算課税制度を選択する必要はありません。
なお、いったん相続時精算課税制度の適用を選択すると、それ以後は取り消しができないので注意が必要です。
詳しくはこちらをご参照ください ≪相続時精算課税による特例を詳説≫ 通常の贈与について 詳しくはこちらをご参照ください ≪覚えておきたい相続と贈与の基本≫ |
主な適用要件 (合計3,500万円の非課税枠を利用する場合)
□ | 自分の父母(父母が亡くなっている場合の祖父母を含む)からの住宅取得資金の贈与であること | |
□ | 上乗せ分の1,000万円については金銭による贈与であること | |
□ | 贈与を受ける子は20歳以上であること | |
□ | 贈与を受ける子の(贈与を受ける年の)合計所得金額が2,000万円以下であること | |
□ | 贈与を受けた資金を使って新たに住宅またはその敷地を取得し、贈与を受けた翌年の3月15日までに入居すること | |
(注)すぐに入居できることが明確であれば、若干は期日を延ばせます。 | ||
(注)2011年度の税制改正により、贈与された資金を、建築に先行して取得する土地の代金に充てる場合でも適用できることになっています。 | ||
□ | 取得をした住宅の登記上の床面積が50平方メートル以上であること | |
□ | 中古マンションなど(耐火建築物)の場合には、取得日時点において築後25年以内であること、または築後25年超のもので地震に対する安全性の基準に適合することが証明されていること | |
□ | 木造の中古一戸建など(非耐火建築物)の場合には、取得日時点において築後20年以内であること、または築後20年超のもので地震に対する安全性の基準に適合することが証明されていること | |
□ | 増改築などの場合には、その工事に要した費用が100万円以上であり、増改築後の住宅の床面積が50平方メートル以上であること |
なお、一般の非課税枠(2,500万円)のみを利用して贈与された資金を住宅取得などに充てるのであれば、取得する住宅などについて何ら制限を受けません。ただし、その場合には「親の年齢が65歳以上」という制限が加わりますので注意が必要です。
用意する書類 (相続時精算課税選択の届出と贈与税の申告)
□ | 贈与税の申告書 | |
□ | 「相続時精算課税選択届出書」 | |
□ | 贈与を受けた子の戸籍謄本・抄本、または戸籍の附票の写し | |
□ | 贈与をした親の住民票の写し、または戸籍の附票の写し | |
□ | 「相続時精算課税の計算明細書」 | |
□ | 贈与を受けた子の住民票の写し(取得した住宅へ入居したことを証明する書類) | |
□ | 取得(または増改築)した住宅の登記事項証明書または登記簿謄本・抄本 | |
□ | 工事請負契約書の写し(増改築の場合) | |
□ | 耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し(築後25年を超える耐火建築物または築後20年を超える非耐火建築物の場合) |
なお、この特例を受ける場合など、贈与税に関する今年の申告期間は2月1日(水)から3月15日(木)までとなっています。
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