環境負荷を抑えつつ豊かで優しい暮らしを目指して
環境負荷を抑えつつ、豊かで優しい暮らしを目指す「長期優良住宅」
わが国では、住宅の寿命は平均30年といわれていますが、それは国民の新築志向が8割と高いこともあり、長年にわたり、いわゆる「スクラップ・アンド・ビルド」が当然とされてきた背景もあります。
しかしこれでは、せっかく投下した資本が30年たつとなくなるのと同じことですから、住宅そのものは個人の資産にならない、ということになります。地球環境を守る観点からみても、短いサイクルで住宅にまつわる大量の廃棄物が発生することは、望ましいことではないでしょう。
さらにわが国は、人口はもとより近い将来、世帯数も減少すると推計されているだけでなく、空き家率が年々上昇しており、2017年現在ではすでに13%を超えているのです。短いサイクルで住み捨てられる住宅をこれ以上増やすのは、家計にとっても環境にとっても、避けなければならないのはいうまでもないことでしょう。
こうした環境下、これからは住宅を適切にメンテナンスしながら、世代を超えて大切に住み続けることで、環境負荷を抑え、さらに個々の住居費コストも削減させて、家計にやさしく豊かな暮らしを実現する――これが、長期優良住宅法の目指すところです。
「長期優良住宅」には、耐久性、耐震性、可変性などに一定の水準が求められる
世代を超えて安心して住み続けられる、つまり長持ちする住宅のためには、ずっと住み続けられるような、そして一定の耐震性を持つ丈夫な建物であることがまずは必要です。家族の状況が変化した場合の住まい方のニーズにも、充分にこたえられるような住宅であることも大切です。あわせて、こうした住宅性能を長年にわたり維持するための、計画的、定期的なメンテナンスも当然、求められるでしょう。そこで、長期優良住宅として認定されるには、建物建築時、そして住み始めた後の維持・管理中においても、以下の水準を満たすことが必要となり、それを満たす基準も具体的に定められています。
※国土交通省住宅局 長期優良住宅法関連情報より作成。詳細は「長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成28年国土交通省告示第293号)」参照。
上記が「長期優良住宅」に求められる水準です。しかし、住まいは私たちの暮らしを守る基盤であり、命を守るハコです。上記水準を1つ1つ確認してみると、むしろ、あるべき住宅の当然の基本性能であると感じます。
【フラット35】sで金利引き下げ幅も大!
良質な住宅を取得できるという、長期優良住宅の取得そのものがメリットといえますが、取得にあたり、他にも様々なメリットを享受できることは知っておきたいものです。まず、住宅金融支援機構の優良住宅取得支援制度(【フラット35】s)において、長期優良住宅は借り入れ金利の引き下げを受けることができます。
金利引き下げにはいくつかの種類がありますが、長期優良住宅については、【フラット35】s(金利Aプラン)となり、当初10年間の金利が0.25%の引き下げとなります(2018年3月31日までの申し込み受付分)。
また長期優良住宅以外でも、一定の住宅については金利引き下げを受けることができます。【フラット35】s(金利Bプラン)は、一定の省エネルギー性能や耐震性、バリアフリー性、耐久性、可変性、いずれかの基準を満たす住宅が対象で当初5年間の金利が0.25%引き下げられます。
住宅ローン減税や固定資産税などにおける優遇税制、地震保険料の割引も
長期優良住宅のメリットは住宅ローン金利の引き下げだけにとどまりません。住宅ローン減税においては一般住宅よりも控除が大きくなり、所得税の投資型減税では標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%が、その年の所得税額から控除されます(2021年12月まで)。また、登録免許税や不動産取得税、固定資産税についても軽減があるなど、複数の税金において減税効果が得られます。
また長期優良住宅では、耐震性についても建築基準法の耐震基準を上回る一定の耐震性が求められることは前述のとおりです。そこで建物の倒壊危険等に応じ保険料が決まる地震保険にもメリットが。耐震性能により、地震保険料について最大50%の割引を受けられます。こちらも書類を携えきちんと割引のメリットを受けましょう。
※ただし、フラット35Sには予算額があるため、申し込みが予算に達すると受付終了(フラット35サイト参照)。
【関連リンク】
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フラット35sについて(住宅金融支援機構)
長期優良住宅法関連情報