土地活用のノウハウ/空室対策・賃貸管理・老朽化

不動産会社との失敗しないつきあい方(3ページ目)

自主管理からサブリースまで賃貸経営のスタイルはさまざまで、それぞれにメリット、デメリットがあり、つきあい方や、注意点も変わります。オーナーさんと不動産会社との関係には、2つのスタイルがあります。第1は、不動産仲介会社に入居者の募集と契約だけを依頼する場合、第2は、不動産会社が入居者の募集だけでなく、賃貸物件の管理まで請け負っている場合です。それぞれの場合について、問題点を考えてみましょう。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

悪質な不動産会社で苦労したケース

電話は注意

注意!電話でのキャンセル

何度も申込書を送ってくる不動産会社が良心的とは限りません。申込書ばかりでなかなか決まらない場合、大事な繁忙期を逃してしまうことにもなりかねません。

不動産会社がオーナーさんに入居希望者を紹介することを、業界用語で「客付け」と呼びます。自ら管理業務を行っておらず、オーナーさんに対して家賃保証もしていない不動産会社は、空室が長く続いたからといって自分たちが痛みを感じることはありません。

一方で入居者を仲介すれば手数料がもらえますから、それを目当てに、オーナーさんの空室を埋めることよりも、自分たちの手で入居者を入れることを優先してしまう場合があります。

ある不動産会社がご近所のオーナーさんから客付けを頼まれました。この場合、専任ではなく、オーナーさんは他の不動産会社にも入居者の募集を頼んでいました。ところが自社で客付けして手数料をとりたかったこの不動産会社は、やってきたお客さんに『早く押さえておかないと他の人に取られてしまいます。申込みしても、後から電話一本でキャンセルできますから』と急かして、まだ、お客さんが最終決定していないうちに申込書を書かせ、それをオーナーさんへファックスしていたのです。そんなことをするのは、他社経由での募集をオーナーさんに止めさせるためです。

律儀なオーナーさんは申し込みがあるとその都度、他の会社へ募集の休止を伝えていました。しかし、まだ部屋探しを続けていた申込客は、結局、他の物件を選び、申込みをキャンセル。そんなことが何度もあり、そのたびに募集を止めていた大家さんは、結果的に大事な繁忙期を逃して、空室を抱え込むことになってしまったのです。何度も申込書を送ってきたこの不動産会社は、おそらく大家さんの目からは、客付けのために活発に動いてくれていたように見えていたでしょう。

ところが実際はその反対でした。仲介手数料を取りたいがために、まだ気持ちの決まっていないお客さんに無理やり申込書を書かせ、まじめなオーナーさんの足を引っ張っていたのです。とりわけコミッション制(歩合制)を採用している不動産会社の場合、営業マンがオーナーさんや入居者の都合よりも自分の成績を優先し、不誠実な行動に走ることもあると考えなくてはなりません。
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