新型コロナウイルスの影響を振り返る

2021年末にかけて新型コロナウイルスも幾分か落ち着きを見せていましたが、ここにきて変異株オミクロンが猛威をふるっています。2022年の不動産建築業界もコロナの影響は免れない状況です。

さて、直近1年を振り返って、不動産マーケットはどのような変化があったのか気になる方も多いのではないでしょうか。
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結論を先に申し上げますと、住宅関連は堅調、オフィス・店舗系は厳しかった、というのが実情です(今後1年についても後述します)。

住宅系の価格が堅調といういうことは、データにも示されており、【表1】(東京・不動産価格指数)のように2013年以降、アベノミクスなど金融緩和の影響もあり好調ラインがあります。
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【表1】「不動産価格指数(住宅)(※1)」(国土交通省)を加工して筆者作成


そして、コロナが確認された2020年6月~8月は一時的に下落しているものの、同年9月以降には再上昇。分譲マンションも同様に高い上昇率を維持しており、大都市圏におけるマンションは相変わらず高額物件化しています。
 
オフィスマーケットは、【表2】のように、2019年以降変動が激しくなっています。三鬼商事レポートによると東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷/2021年10月)平均空室率が6.47%となっており、前年同月比でみると2.54ポイントも上昇、また平均賃料も15か月連続で下落しています。これは、空前の事務所不足から急転直下の空室時代突入を予見させます。大阪・名古屋においても同様の動きになっています。
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【表2】「不動産価格指数(商業用不動産)(※1)」(国土交通省)を加工して筆者作成


​​​​​​半面、賃貸住宅マーケットは、都市部の単身若者向け賃貸においてはダメージを受けましたが、全体的にはコロナ禍の大きな影響を受けていません。住宅系賃貸住宅経営は、安定した事業であることが見受けられます。

※「不動産価格指数」:不動産価格指数は、IMF等による国際指針に基づき、不動産市場価格の動向を表すものとして、国土交通省が調査、公表している不動産動向を表す指数。
 

東京都の地価は?

2021年の東京五輪は無事閉幕されましたが、五輪の開催自体は不動産価格には影響を与えませんでした。2013年にオリンピック開催国であることが決まったことを契機に大規模な再開発事業やインフラ整備が進められてきたことが不動産価格に影響を及ぼしており、実際には、今もなお、再開発は止まらずに進んでいます。

一時は、深刻な不動産業界の崩壊が囁かれましたが、実際には経営破綻や倒産などはむしろ減少しています。コロナ対策融資が豊富に出たことや不動産マーケットが崩れなかったことが幸いしました。

2021年は、不動産の売却物件が不足し、更地など収益物件やマンション用地の取り合いが繰り広げられたことと、やはり、引き続きの低金利が堅調を維持した要因です。また、中国をはじめとした海外勢もカネ余りを背景に日本投資への意欲を失わなかったことも挙げられます。ただ、中国恒大集団が33兆5000億円もの負債を背負って破綻したことは、今後、日本市場にも大きな影響を及ぼすでしょう。
 

不動産はこれからどうなる?

まず、2022年のオフィス市況はコロナ禍によって空室率が大きく悪化し、賃料の下落トレンドとなるでしょう。今後は、さらに空室の増大など状況の悪化が予想され、フリーレントや大幅値下げ、AD(仲介報酬の上乗せ)などが繰り広げられると予測します。理由としては、事業用賃貸においては「6か月の解約予告期間」を設けているところが多く、遅れて数値に表れるためです。 

また、コロナ禍によって企業が疲弊してダウンサイジングを始め、加えてテレワークによって出勤する機会も少なくなり、多くの企業が減床の動きをみせています。 この流れは大きなビルから中型ビル、小型ビルへと波及していき、オフィスオーナーを取り巻く環境はますます厳しくなります。

オフィスマーケットは目下「クローズドマーケット」 になりつつあります。ビルオーナーや仲介会社は表立って賃料を下げられない状況で、今後は募集賃料と成約賃料の乖離も問題になってくるでしょう。

店舗系賃貸については、コロナダメージに強い店舗と弱い店舗で明暗が分かれています。なお、退去についてはオフィスと同じく6か月前予告が多いので、今後大幅に空室が増える可能性があります。

ただし、元気な業態やチャレンジャーはどの時代にも存在しますので、全てが厳しいわけではありません。以前は一等地であれば募集看板を上げる前にテナントが内定していましたが、現在は、オフィスのクローズドマーケットとは反対にオープンマーケットになりつつあり、一等地であっても募集を公表しなければ、テナントが決まらない物件が続出しています。

よって、2022年度は、オフィス・店舗ともコロナのダメージを受けた企業の撤退による空室や賃料下落といった影響を強く受ける年になるでしょう。
 

住宅賃貸はどうなる?

賃貸住宅のなかでも、2021年のコロナ禍中では、単身向けの物件が厳しい状況にありました。理由としては、例えば学生や派遣、アルバイトの方々が飲食店や小売店での仕事を無くし収入が途絶えてしまい、退去せざるを得なくなった、ということが挙げられます。

加えて外国人就労者の賃貸ニーズの減少と共に大きなマーケットとなっていた多くの民泊が賃貸に切り替えられたことも挙げられます。このような状況は都内の様々なエリアでみることができ、価格帯でいえば賃料5~6万円台が最も苦戦を強いられました。 

例えば東京・大久保の物件では新宿にて飲食店に従事する方々が一斉に減少、また吉祥寺などの人気エリアであっても空室率が格段に上がり、20%超の空室率になっている物件もありました。

なお、コロナ禍明けには、一旦は退去していった方々が戻ってくることが期待されます。しかし、仮に景気の本格回復を睨むと、賃貸住宅業界の単身向けの回復には2年ほどかかる可能性があるでしょう。

一方、ファミリータイプ物件は堅調に推移し、大幅な空室率アップや賃料下落はありませんでした。もちろんコロナ禍中にあっても人気物件のトレンドは変わることなく、築年数や立地条件によって明暗が分かれました。

今後のコロナの感染状況の見通しは予断を許さない状況ですが、様々な調査機構を見渡すと2022年度中も、コロナ禍の影響が残る可能性はあると思われます。だだし新型コロナ経口治療薬の普及状況や3度目のワクチン接種も大きなカギを握りながらも、アフターコロナ期になれば経済活動が正常化しつつ、内外の人の移動もほぼコロナ前の状態に戻り、インバウンド需要も回復する見込みだと言われております。

期待感もありますが、コロナ禍に伴う2年近くに及ぶ自粛の反動により、景気が急回復することも推定されます。

経済産業省の「サービス産業活動図表集ー2021年10月(※)」をみると、既に活発に上昇している業種もあります。このような中で問題になるであろうと推測できるのは、どの業種も人手不足問題に悩まされることです。コロナショックによる経営状況の悪化から人材の制約をかけていたところから、再度、増やすとなると容易ではありませんので、雇用問題が企業活動にどのような影響を及ぼすのかも注視が必要です。

賃貸住宅経営は、内需型の産業で国内経済からの影響を受けます側面もありますが、実際には、数字的にも(家賃相場や空室率など)遅行しますので、大きな経済変動に対して直ちに影響は受けない、安定的な事業であることがわかります。

※出典:「サービス産業活動図表集ー2021年10月の第3次産業活動指数の状況」(経済産業省)


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