なぜ部屋が埋まらないんだ!

それは、あなたです!
「谷崎さん、私のアパート、空室がどうしても埋まらないんだ。何か対策はないか教えてくれ!」。相談を受けて、私は東京東部の近郊に暮らす大家さん、Bさんのもとへ急行しました。

さっそく拝見すると、なるほど……、建物はかなり経年劣化していて、2DKの部屋の床は畳が主体。キッチンにはサビや汚れも目立ちます。和式のトイレも同様、長年「使い込まれて」しまっていて、とても綺麗とはいえません。いかにも、入居希望者に二の足を踏ませそうな雰囲気です。

そこで、「まずはリフォームを検討する必要がありますね」、まさに私がそう言いかけたときでした。Bさん曰く、「谷崎さん、お金をかけずに空室を埋める方法をぜひお願いしますね」。「えっ」と、私は思わず、答えに詰まってしまいました。

地元不動産会社の間では有名人だったオーナーBさん

実は、Bさん、地元の不動産会社さんの間では、有名な方でした。10社を超える不動産会社に声をかけ、「早い者勝ちで客付けしてくれ」と、いつもハッパをかけているというのです。そこで私から、いくつかの不動産会社に、その様子を聞いてみることにしました。

すると、「Bさんからの電話には出たくないよ…」。なぜなら、「Bさんのおっしゃる入居条件、ちょっとわがまま過ぎるんです」。

その条件とは、「入居者は、夫が一流企業に勤める若いご夫婦であること。但し、子供はいないこと」という厳しいもの。それ以外の申し込みが入ると、「勤め先が一流じゃない」、「高齢だ」、「賃貸保証会社を使う?保証人を自分でつけられないような人はダメ」など、ことごとく契約を拒絶し続けているということなのでした。

しかも、「我々のアドバイスなど、聞いてもくれません」と、嘆く不動産会社さん。

「ご希望通りの入居者にお部屋を借りてほしいのならば、ぜひニーズに合ったリフォームをしてください!」、「ペット可にするのはいかがですか?」 、「それらがだめなら、せめて賃料を下げましょうよ」。それらの提案を、Bさんはすべて拒否。理由は、「大家にお金を使わせずに、入居者を探すのがあんたたちの仕事だろう!」。

今やBさん、すっかり地元不動産会社の間では有名になり、揃って誰からも煙たがられる存在になってしまっているということなのでした。これでは上手くいくはずがありませんね。大家さんという事業は、地域密着が基本なのです。

ちなみにBさん、とても裕福な方で、リフォーム代の捻出にご苦労されそうなご様子などとても見受けられない方でした。

次はわがままを言い続けて失ったものをご紹介します。