土地活用のノウハウ/空室対策・賃貸管理・老朽化

不動産会社との失敗しないつきあい方(4ページ目)

自主管理からサブリースまで賃貸経営のスタイルはさまざまで、それぞれにメリット、デメリットがあり、つきあい方や、注意点も変わります。オーナーさんと不動産会社との関係には、2つのスタイルがあります。第1は、不動産仲介会社に入居者の募集と契約だけを依頼する場合、第2は、不動産会社が入居者の募集だけでなく、賃貸物件の管理まで請け負っている場合です。それぞれの場合について、問題点を考えてみましょう。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

特命で仲介を頼む場合の問題点 

一社だけに入居者募集を任せる場合、担当者の努力次第で入居率に大きな差が出てきます。いい加減な担当者に当たらないよう、不動産会社選びは慎重に行いましょう。

管理業務は自分で行うけれど、入居者の募集は複数の会社に投げるのではなく、1社だけに頼むというオーナーさんもいます。入居者募集を1社だけに頼むことを、業界用語で「特命」あるいは「専任媒介」と呼びます。専任媒介で頼む場合は、不動産屋さんには確実に仲介手数料が入りますから、募集広告なども気兼ねなく打てるようになります。

一方でしばらく入居者が見つからなくても、不動産屋さんは別に困りません。他社に先を越されるということもないわけですし、何ヵ月か空室が続いたとしても、最終的に入居者が見つかれば、確実に手数料が入ってくるからです。ですから、たまたま専任で頼んだ不動産屋さんがオーナーさん本位とはいえない姿勢で、熱心に入居者を探してくれない場合、オーナーさんはなかなか空室が埋まらずに苦労することになります。

空室をすばやく埋めるためには、やはり不動産仲介会社の営業力や担当者の熱意が大切になります。熱心な業者さんは提案力もあるし、一人一人のお客さまに対して真剣勝負で臨んでいます。そういう人が見つけてきたお客さまを連れてきて、

「なんとしても契約していただきたいので、ここは家賃を下げてください」と言ってきたら、オーナーさんも「うん、わかった」となるものです。そうしたスピリッツというか、「満室魂」があるかないかで、入居率が変わってきます。

これがやる気のない担当者だと、オーナーさんに対する交渉もきちんとできません。
「先日見に来た人が、家賃交渉したいと言っているんですけど……」
「家賃下げるのは嫌だなあ」
「そうですよねえ」
といったやりとりだけ引っ込んでしまい、お客さまを逃してしまうことになります。

オーナーさんはその場は自分の意見が通ったことで満足するかもしれませんが、結局はそのせいでそれからまた長いこと空室が続き、家賃収入を逃すことになってしまうのです。

専任媒介であれ一般媒介であれ、入居者の仲介だけを頼むというスタイルでは、空室が長く続いた場合に損をするのはオーナーさんだけなのです。空室保証までつけて物件の管理業務を任せていない限り、専任で頼んでもなかなか真剣に入居者募集してくれないのが実情です。

中にはお調子者の担当者もいて、「空室が出たから、募集頼むよ」というオーナーさんに対し、口では「がんばります!」と威勢がいいのですが、その後、1ヵ月経っても何の反応もなかったりします。オーナーさんが電話をすると、「いや、一生懸命やっているんですが……」と、募集がうまくいかない理由をいろいろ並べ立てて、また「がんばります!」という返事。こういう担当者は要するに口だけなのです。「いろいろなサイトに登録しています」と言いながら、ほとんど動いていなかったという場合も。

不誠実な不動産会社や担当者のために、それが原因とは気づかずに空室に悩んでいるオーナーさんも多いのです。

もちろん中には、オーナーさんと同じ立場に立って、一緒に悩み、考えてくれる不動産屋さんもいます。これは、それぞれの不動産屋さんの社風や、担当者の性格にもよるのです。

さまざまなケースを書かせていただきましたが、不動産会社と上手にお付き合いすることが、賃貸経営の成功への近道だとご理解下さい。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます