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神戸「まちづくり」30年の歴史~下町から新興地迄(3ページ目)

神戸に「まちづくり条例(神戸市地区計画およびまちづくり協定に関する条例)」ができたのは昭和56年(1981年)12月。ちょうど今から30年前です。「市民のコミュニティ活動をまちづくり活動に結実させるためのシステム」であるこの条例を利用して「まちづくりのルール」を制定しているエリアは現在16地域にのぼります。

田中 和彦

執筆者:田中 和彦

住みやすい街選び(関西)ガイド

まずは旧市街地の多い三宮以西の浜側の区(兵庫区/長田区/須磨区)での締結エリアの紹介です。

兵庫/長田/須磨~旧市街地、震災復興、ニュータウンと多様

会下山地区まちづくり協定 
(平成19年11月6日締結 神戸市公告 第442号)
住所:神戸市兵庫区会下山町1~3丁目の各一部
神戸市営地下鉄西神・山手線「湊川公園」駅~「上沢」駅の北西側、会下山(えげやま)公園の東側一帯です。自然豊かな会下山公園に接している地区特性を活かした「陽のあたる緑ゆたかな丘のまち」の実現をめざし、建築行為等のルールを定めたものです。「陽のあたる」住環境維持のため、建築物の高さの限度を、各区域ごとにそれぞれ12メートル、15メートル、20メートルと制限します。

真野地区まちづくり協定
(昭和57年11月 神戸市公告 第264号、平成19年12月一部変更)
住所:神戸市長田区東尻池町3丁目~9丁目、浜添通1丁目~6丁目、苅藻通2丁目~6丁目、7丁目の一部
阪神高速3号神戸線港川JCTの東側、神戸市営地下鉄海岸線「苅藻」駅の周辺です。町工場、文化住宅等が混在する地域です。
明るい住み良いまちづくりを目標としており、具体的な目標として「年齢構成に片寄りのない人口の定着」「住宅と工場の共存・共栄」「安全でうるおいのある住環境の確保」の3点をかかげています。

新長田駅北・中地区まちづくり協定
(平成21年11月24日 神戸市公告 第3138号)
住所:神戸市長田区御屋敷通1~3丁目、水笠通1~3丁目、松野通1丁目
山陽電鉄本線「西代」駅の南側一体から一部JR山陽本線「新長田」駅北側へとつながるエリアです。
阪神・淡路大震災で、殆どの建物が全半壊したエリアで「人と人とのつながりを大切にし、住商工が一体となって、魅力と活力のある町をつくることを目標」としています。

北須磨団地まちづくり協定
(平成2年6月26日 神戸市公告 第101号)
一部変更(平成13年3月6日 神戸市公告 第578号)
一部変更(平成23年3月24日 神戸市公告 第1045号)
住所:神戸市須磨区友が丘1丁目~9丁目、多井畑字掛峠の一部
神戸市営地下鉄西神・山手線「名谷」駅南方面の北須磨団地と一戸建てが居並ぶニュータウンです。「うるおいあふれる住みよいまちづくり」を推進し、「友愛と信義」のもとに「うるおいあふれる住みよいまちづくり」を目標としています。

最後は六甲山系を超えて北側、山手方面のエリアです。

北区/西区~神戸電鉄沿線にひろがる新しいまちづくり

西二郎(にろう)地区まちづくり協定
(平成10年12月25日 神戸市公告 第432号)
住所:神戸市北区有野町有野の一部及び有野町二郎の一部
中国自動車道西宮北インターの約1km西、神戸電鉄三田線「田尾寺」駅の北側にある農村エリアです。農村集落と新規住宅開発との調和を図るのが目的というすこし珍しいタイプ。「低層住居専用地区及び農住調和地区においては、150平方メートル」「中低層住居地区においては、100平方メートル」といった最低敷地面積要件がもうけられています。

下唐櫃(からと)地区まちづくり協定
(平成16年6月30日 神戸市公告221号)
住所:神戸市北区有野町唐櫃字西垣、東垣、西畑垣、東畑垣及び溝ノ下垣の各一部
神戸電鉄有馬線「有馬口」駅南側の対象人口約270人、世帯数約90世帯とエリア。神戸市内のまちづくり協定対象としては最小規模です。”下唐櫃地区の豊かな自然と歴史を活かし、誇りをもって暮らし続けられる、住み良いまちづくり”を推進するため、建築行為等のルールを定めたものです。

道場八多(どうじょうはた)地区まちづくり協定
(平成17年7月12日締結 神戸市公告 第198号)
住所:神戸市北区道場町日下部の一部、有野町二郎の一部、八多町中の一部
神戸電鉄三田線「道場南口」駅の駅前から中国自動車道神戸ジャンクション西側あたり一体のエリアです。「ゆとりと活力のある環境共生都市」を実現するため、用途地域や地区計画では定めることのできない細かいルールを定めたものです。第一種低層住居専用地域、近隣商業地域、準工業地域等、幅広い用途地域が含まれています。

桜が丘地区まちづくり協定
(平成21年6月 神戸市公告 第3118号)
住所:神戸市西区桜が丘東町1丁目(一部を除く)、2丁目、4~6丁目、中町1丁目(一部を除く)、2~6丁目、西町の全域
神戸電鉄粟生(あお)線「小幡」~「栄」駅南方にあるニュータウンがエリアとなります。「緑ゆたかでゆったりと落ち着いたまち」を基本理念に、快適で住みよい住環境と美しい街並みを保全するとともに、安全で安心できる利便性の高い市街地の形成を図ることが目標です。

ここにあげたのは条例の手続きを踏んで「まちづくり協定」を締結したエリアのみです。同様な動きをした事のあるエリアや現在検討中のエリアを含めると、さらに多くのエリアが「街独自のルール」を考えているという事になります。神戸市一つ取ってもこれだけ多様性がある街のエリア性。「街選び」の際も、駅からの距離や都心からの距離だけで判断する事無く、どのような「まちづくり」がなされているエリアであるかも見ていきたいものです。



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