「○×思考」は認知にゆがみがあるせい!?
身近にあふれる○×的な言葉を書き出してみよう
うつ病など心の病の精神療法に「認知療法」という方法がありますが、この療法の大家であるバーンズは、「認知のゆがみ」を10種類に分類しました。「○×思考」はそのなかの、「全か無か思考」(オール・オア・ナッシング・シンキング)と共通します。物事を白黒、オール・オア・ナッシングの2つに分けようとする認知です。
とっさにとってしまう認知に「○×思考」の傾向がある場合には、世の中が不安定になり、“勝ち組”“負け組”などの○×的な言葉が現れたときに、容易に扇情されてしまいます。
認知のゆがみは、非合理的で非現実的な考え方です。たとえば、冒頭の「○○できない人は“負け組”」という発想をとってもみても、「そもそもなにを根拠にそう言えるのか?」と疑問だらけです。こんな根拠のない風評に振り回されて、自分や他人の価値を否定したり、抑うつ的になるまで追い込んだりするのは、ナンセンスです。
目の前の「結果」に注目せず、「長距離視点」で物事を見る
結果しか見られないから「○×思考」になる
仕事をすれば、ほとんどがその成果でしか評価はされません。受験期の子や結婚適齢期の女性もそうです。家族からも、受験の合格・不合格の「結果」、未婚・既婚の「結果」でしか注目されないことが多いのではないでしょうか。
頑張って挑んだ姿、日々健気に生きている姿に、注目してくれる人は少ないのです。そんななかで生きていく私たち、そうした発想を持つ親に育てられた子どもたちが、自然に「○×思考」に傾いてしまうのも無理はありません。
しかし、やはり物事は○×で決まるわけではありません。今は×だと思える結果が、自分を生かす経験になることはたくさんあります。だからこそ、今見えている結果に注目するのではなく、「長距離視点」で物事を見ていこうという視点が大切になるのです。
根拠もないことに「○×思考」を働かせて評価してしまうと、自分や他人を追い込みすぎて、苦しくなってしまいます。そんな場合、意識して修正していきましょう。その都度、「それは根拠あるの?」「その考え方は合理的? 現実的?」と自分自身に問いかけていくことです。
こんな風に、気づいたときに修正を重ねていけば、「○×思考」から少しずつ離れていくことができると思います。