マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

火災に備える~まずは「予防」「減災」を心がけよう(2ページ目)

寒さが本格化し空気が乾燥するこの季節、住宅火災が増えてきます。今年は節電・停電に備えて石油ストーブの売れ行きが好調とのこと。但し石油ストーブは住宅火災の原因上位に入っています。火災予防のために我が家の防火対策をもう一度見直してみましょう。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

住宅火災の原因の1位は「こんろ」

住宅火災の原因は何が多いでしょうか。東京消防庁のまとめた「住宅火災の出火原因」(過去5年間 H18~22の統計)によると、1位が「こんろ」26.0%、2位が「たばこ」17.3%、3位が「放火」16.3%となっています。1~3位までで全体の59.6%、約6割を占めています。4位にはストーブが入っており6.2%となっています。

【表1】住宅火災の出火原因。ワースト3を合計すると約6割を占める。

【表1】住宅火災の出火原因。ワースト3を合計すると約6割を占める。



東京都では火災による死者の約8割が、全国的には約9割が「住宅火災」が原因だということです。このことからも、住宅で発生する火災を予防することが大切です。

 

早期発見、早期消火が大切

火を消さずにコンロから離れないようにしましょう。

火を消さずにこんろから離れないようにしましょう。

住宅火災の被害を減らすためには「早期発見」「早期鎮火」が有効です。住宅用火災警報器は火災を感知してブザーや音声などでいち早くお知らせしてくれるため、火災の早期発見に役立ちます。

消防法の改正により日本では2004年に全ての新築住宅に住宅用火災警報器の設置が義務付けられました。また、既存住宅においても現在(平成23年11月)では全ての都道府県の既存住宅で設置が終了していなければならないことになっています。

 

3割の家庭で住宅用火災警報器が未設置

ところが総務省消防庁の調査によると、全面義務化後も住宅用火災警報器の推計普及率は71.1%程度であり、約3割の家庭でまだ設置をしていないということが分かりました。住宅用火災警報器の導入が進むアメリカでは、火災警報器の設置率が90%を超えた時に住宅火災による死者数が半減したと報告されています。この例からも、住宅用火災警報器の設置には効果があることがわかっています。

 

火の用心 隣からのもらい火も自己負担

木造家屋の密集地では火災になると被害が大きくなる可能性が高くなる。予防が大事。

木造家屋の密集地では火災になると被害が大きくなる可能性が高くなる。予防が大事。

皆さんは、もし隣の人が出した火事で自宅が燃えたら、自分の家は隣の人が責任もって再建してくれると思っていませんか。

ところが木造家屋が多く、もらい火の多い日本では、「失火法」により隣の人がうっかり出してしまった火災が原因で自宅が延焼してしまっても、隣の人に損害賠償を請求できないことになっています。

隣の家が火災になって、消火のために自分の家が水浸しになった場合も自己再建が原則です。

 

万が一の時のために保険に入っておく

繰り返しになりますが、自分が火元で出した火事はもちろん、隣の人がうっかり出した火事の延焼を受けた場合でも「自己再建」が原則です。日本では火災だけでなく地震や津波など自然災害による住まいの再建は基本的に自己再建となっており、東日本大震災以降、火災保険や地震保険への加入を検討する人が増えています。

 

まずは「予防」「減災」を

保険加入で万が一の時に備えておくことはとても大事なことですが、まずは火事を出さない「予防」「減災」対策を取っておくべきです。住宅用火災警報器が未設置のお宅では早急に設置し、コンロやストーブは使用時の注意事項を守ること、放火されないように住まいの周辺を片づけておくことなど、火災予防に努めるようにしましょう。

【参考サイト】
石油ストーブなどの安全な取り扱い(総務省消防庁)
火災保険の必要性1 延焼被害も賠償なし(All About 火災保険の選び方)
自分が火元で延焼…賠償責任はないの?1(All About 損害保険)

【関連サイト】
自分でつけてみよう!住宅用火災警報器 
火災を未然に防ぐ! 住宅用火災警報器 Q&A 
マンションが火事になったらどうする?

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