構造は地盤とセットで理解
構造は、免震・制振・耐震の順にグレードが良いとされるが、最適な構造とは地盤と建物の形が前提となって決まるものだ。例えば硬い地盤の上に立つ建物は柔らかい地盤にあるより地震の揺れが小さくなり、低層の建物なら制振構造の採用はさほど効果的とはいえないようだ。前ページの「制震間柱」配置図は、目黒区のプロジェクト「クロスエアタワー」の図面だが、この現地などは良好な地盤が地表近くにあるため、直接基礎工法で建設されている。点で支える杭基礎に対し、面で支える直接基礎はより安定度が増すと考えられている。
さらにこのマンションでは一部、全国初採用の超高強度コンクリート「200N/mm2」(1センチ平方メートルで2トンの重さを支える。100年コンクリートが30Nだから、その6倍以上の強度を誇るコンクリート)を使用。資産価値を視野に入れるなら、耐震性だけでなく、こうした地盤や躯体の耐久性も理解できるようにしておきたい。
これからの超高層マンションの構造
ゼネコン各社の話によると、3月の震災以降、制振や免震の相談が相次いでいるという。そんな状況から、今後タワーマンションはどちらかが必須になるのではないかと推測しているようだ。だが「制振」に関していえば、共用部の状況や建物の形状まで幾多の要素がかさなって効果が発揮されることから、単純に制振装置の有無だけを見て判断するのは早計といえるだろう。分譲マンションに合ったメンテナンス方法なのか、そのためのコストはどうなるのか、万一の時の交換方法も含め、検討の際は細かく把握するようにしたい。
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【取材協力/(一部)資料提供】
大成建設
文中の制振に関わる数値は「クロスエアタワー」を対象にしています。
大成建設の建設現場(2011年1月撮影)
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