地震時に倒れやすい家具は?
1995年の阪神淡路大震災における住宅内部の被害状況はどうだったのでしょうか。戸建住宅および超高層を含む集合住宅を対象とした調査結果は【表1】のようになっています。これにより、転倒した家具の割合は、本棚が一番多く、次いで食器棚、和タンス、整理たんす、洋タンス、ピアノの順になっており、背が高くて奥行きの短い家具ほど倒れやすい傾向があることがわかります。
ピアノの73%が移動または転倒
ここでピアノに注目してみましょう。ピアノは重いため「そうそう動かない」というイメージがあると思いますが、【表1】によると「倒れた」「移動で被害あり」「動いただけ」の合計が73%に上っています。このことからも、ピアノもしっかりと移動防止・転倒防止対策を取っておく必要があることがわかります。ピアノが移動しやすい理由は、脚についているキャスターです。ここを固定することが地震対策として有効です。
ピアノは一台200キロ以上の大型家具!
ピアノは重量が重く、グランドピアノで250キログラム、アップライトでも200キログラム以上あり、万が一下敷きになったら大けがをしてしまいます。場所を取らないアップライトピアノは一般家庭のレッスン用や学校などで広く愛用されており、自宅にお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。まだ移動防止・転倒防止対策を取っていないご家庭では、ぜひこれを機に検討してみてください。アップライトピアノの転倒防止対策
ピアノの転倒防止対策を行う場合、まずは使用しているピアノのメーカーが推奨する方法を確認してみてください。例としてあるピアノメーカーが勧めているアップライトピアノの地震対策をご紹介します(【図1】参照)。※この方法はピアノ後方に壁がある場合に限ります。【図1】あるピアノメーカーの地震対策グッズ。アマゾンでも購入可能
ピアノの脚の部分に、床が傷まないように長方形の敷き板をしているご家庭は多いと思います。【図1】のグッズは、その敷き板の前輪部分に前輪を固定する金具がついており、後輪の部分にはアクリル板が仕込んであります。
大きな地震が発生すると、前輪の金具でピアノの暴走を防ぎ、後輪のアクリル板が割れてキャスターが沈み、ピアノ本体の重心が後ろにずれて後方の壁にぶつかって止まります。つまり、人がいるピアノの前方は安全になります。
敷き板は木製で15センチメートル×64センチメートルの長方形をしており、左右に一枚ずつ2枚セットで使用します。和室でも洋室でも使用可ですが、必ずピアノの後方に頑丈な壁がある場合に使用してください。
グランドピアノの転倒防止対策
グランドピアノはアップライトピアノに比べ横に広がった形状をしており、脚3本で支えているためわりと安定しています。ただしキャスターが動きやすいためしっかり移動・転倒防止対策を施しておきましょう。【写真1】グランドピアノの脚にゴム製のインシュレーターを取りつけた例。脱輪を防ぐために安全ベルト付がおススメ。 アマゾン でも購入可能です。
【写真1】はあるご家庭のグランドピアノの地震対策です。脚のキャスター部分に「インシュレーター」と呼ばれるゴム製の台を取りつけています。
このインシュレーターはお皿をひっくり返したような形をしており、中央のくぼみの部分にキャスターをしっかり沈みこめることで、移動しにくくしています。床に跡がつくのを防ぐとともに、防震効果、防音効果があります。大地震が起きた時、脱輪を防ぐために、安全ベルトがついたインシュレーターも販売されています。
地震対策グッズの取り付け方法
ピアノの地震対策をしたくても取りつけはどうしたらよいの?と思うのではないでしょうか。重量のあるピアノを持ちあげることは危険を伴う作業です。ピアノを新しく購入した時や引っ越しをした時はチャンスなので、その機会に取り付けを行いましょう。また、ピアノの地震対策グッズを取り扱うお店では、グッズを購入した人に簡易式のピアノジャッキをレンタルしているところもあるようです。簡易式ピアノジャッキはアマゾンでも取り扱っています。
重たいピアノはなるべく寝室には置かない
繰り返しになりますが、ピアノは脚にキャスターがついているため移動しやすく、大地震では転倒も報告されています。今回ご紹介したような移動防止・転倒防止対策をしておくとともに、なるべく家族が就寝する部屋にはピアノを置かないようにしましょう。どうしても同じ部屋で就寝しなければならない時は、ピアノの移動・転倒の恐れのあるピアノの前方での就寝は避けましょう。【関連記事】
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