一日の1/3を過ごす寝室

一日にもし8時間の睡眠をとるとしたら、単純計算でも1日の3分の1は寝室で過ごしていることになります。そう考えると、寝室にいる時に地震が起こる確率はとても高く、しかも寝ている間は無防備なため、すぐに地震に対処できないことも十分考えられます。

一日のうち1/3もの時間を過ごす寝室の安全性を今一度チェックしましょう

一日のうち1/3もの時間を過ごす寝室の安全性を今一度チェックしましょう


寝室内の家具の配置やちょっとした備えで、もしものときの生死を分けることもあります。そこで、どういった点に注意して寝室を考えたらよいか10のポイントをご紹介します。

 

地震に備えた寝室とは? 10のチェック

それではまず寝室危険度チェックをしてみましょう。下の図は約11畳の洋室にシングルベッド2台、鏡台、タンス、テレビ、パソコンを配した一般的な寝室レイアウト例です。この中に下記のような10か所のチェックポイントがあります。

一般的な寝室の家具レイアウト例。この中に危険個所が10か所もあります(クリックで拡大)

一般的な寝室の家具レイアウト例。この中に危険個所が10か所もあります(クリックで拡大)


それでは順番にチェック項目を見ていきましょう。

(1)窓ガラス

大地震の際、窓ガラスが割れて破片が飛散し、大けがをしてしまう可能性があります。この図のように、窓ガラスのそばにベッドを置いている場合はベッドを移動するか、窓ガラスに飛散防止フィルムを張り、さらに就寝時はカーテンやブラインドをしっかり下ろすようにしましょう。

(2)高さ60cmのボード(テレビ・パソコン台)

高さが60cm程度のテレビ・パソコン台だと「低いから倒れにくいだろう」と考えるかもしれませんが、その上にテレビやパソコンなど、重いもの、倒れたら困るものをのせる場合は、テレビ・パソコン台は壁や床などに固定しましょう。

また、万が一の時に逃げ込める場所としてテレビ・パソコン台の下部は開けておき、人が入れるスペースを取っておいてもいいでしょう。

(3)テレビ(4)パソコン

室内に置かれたテレビ・パソコンは、大地震時には凶器になります。倒れるだけでなく、滑る、飛ぶなど予想外のことが起こっています。

テレビやパソコンを台にのせる場合は、まず台を壁や床に固定します。次に、テレビ・パソコン本体もチェーンやワイヤー、ベルトなど専用の部材を使って壁または台に固定します。それらが難しい場合は耐震マットなどで固定してもよいでしょう。

テレビの落下・転倒・移動防止対策として、テレビは固定したテレビ台に固定しましょう。画像出典:東京消防庁

テレビの落下・転倒・移動防止対策。画像出典:東京消防庁




 

(5)高さ180cmの二段重ねタンス

二段重ねのタンスは上下がズレて転倒しやすいため、まずは上下のタンスどうしを平型金具などでしっかり固定します。その次に、突っ張り棒やチェーン、L型金具などで、本体を壁や天井にしっかり固定します。

上下に分かれたタンスは平型金具で上下をしっかり固定しましょう。

上下に分かれたタンスは平型金具で上下をしっかり固定しましょう。



家具の固定の次は、タンスの中から飛び出すものの対策をとります。重いものは下の段に入れ、上段には軽いものを収納し、引出しや扉には鎖や耐震ラッチをつけ、中味の飛び出し防止策を取るようにしましょう。

タンスが倒れる時は正面方向に倒れるため、もし寝室にタンスを置く場合は、タンスの側面に寝るようにしましょう。

 

(6)タンスの上の花瓶、鉢植えなど

高い位置に重いもの、割れやすいものを置いておくと落下した時に危険です。タンスの上など高い場所には基本的に何も置かないようにしましょう。


 

(7)入口付近のタンス

入口付近にタンスなどがある場合、地震時に倒れて避難経路をふさぐ可能性があります。避難の妨げにならないよう、出入り口付近には家具を置かないようにしましょう。いずれにしろ、タンスを置く場合はチェーンなどで壁や天井などにしっかり固定し、転倒防止を行います。


 

(8)鏡台

鏡台の鏡が割れると危険なので、ガラス面に飛散防止フィルムを貼りましょう。なるべくベッドのそばに置くのは避けましょう。


 

(9)照明器具

天井から吊下がっているシャンデリアやペンダント型の照明器具は、地震時に大きく振れて危険です(下図参照)。寝室の照明器具は、シーリングライトなど「天井に直付けするタイプ」を選ぶと良いでしょう。

天井からつり下がるシャンデリアやペンダントライトは寝室での使用は避け、天井直付けタイプを選びましょう

天井からつり下がるシャンデリアやペンダントライトは寝室での使用は避け、天井直付けタイプを選びましょう


また、直付けタイプの照明器具でも、蛍光灯や電球が露出しているものは落下の恐れがあり危険なので、カバーがついたもの、カバーがない場合は飛散防止タイプの蛍光灯をつかうと良いでしょう。

近年普及しているLED照明は、カバーに割れにくい難燃性のポリカーボネイトなどを使用しているものが多く、地震時に安全です。機会を見て寝室の照明をLED照明に変えてもいいかもしれません。

(10)壁の額---絵画や賞状など

壁に掛けている額で重いもの、ガラスの入っているもの、鏡などは落下した時や割れた時に危険です。寝室にはなるべくそういったものは飾らないようにしましょう。

 

落下したら危険なので、枕元に額に入った絵などは飾らないようにしましょう

落下したら危険なので、枕元に額に入った絵などは飾らないようにしましょう

 

イザという時のために枕元に準備しておきたいもの

就寝中の地震時に役立つのは「灯り」と「履きもの」です。周りは暗く、床には危険なガラスや破片が散乱……となると、「灯り」と「履きもの」は逃げるための必需品です。従って、イザという時のために、枕元周辺の定位置に、懐中電灯と履きなれた靴やスリッパを置いておくようにしましょう。

懐中電灯と履きなれた靴(上履き、スリッパなど)を枕元に置いておきましょう。

懐中電灯と履きなれた靴(上履き、スリッパなど)を枕元に置いておきましょう。


基本は、寝室にはなるべく家具を置かない

地震時の寝室の安全性について見てまいりましたが、安全なベッドルームの基本は「なにも置かないこと」。タンスなどの置き家具は極力置かず、造りつけのクローゼットで対応する方が理想的です。

繰り返しになりますが、もしタンスやテレビを室内に置く場合は、万が一倒れてきても布団にかからないようベットから離れた場所に置き、しっかり固定し、また入口をふさがない位置に置くようにしてください。

就寝時に地震が起きたら、まずは頭を守り、揺れが収まってからドアや窓を開け、避難経路を確保してください。ぜひ皆さんもこの機会にご自宅のベッドルームの安全性チェックをしてみてください。

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