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高価な買い物だけに、マイホームの売買契約は慎重さが不可欠

読者の皆さんは「千三つ屋」(せんみつや)という言葉をご存じでしょうか。千三つ屋とは「千のうち三つしか本当のことを言わない」という意味で、「ほら吹き」や「嘘つき」を意図した慣用句として使われています。残念なことに、かつて不動産屋も「千三つ屋」と呼ばれた時代がありました。

しばしば「不動産業はクレーム産業」と言われるように、今なお不動産取引に関するトラブルやクレームがなくなることはありません。ガイドが考える主な理由は以下の4つです。

 (1)権利関係が複雑で分かりくい
 (2)法的規制が極めて多く、様々な制約を受ける
 (3)個別性がとても強いため、他と比較しながらの客観的評価がしにくい
 (4)高価な買い物であるがゆえ、消費者は十分な知識と経験が習得できない

もちろん、クレームは不動産業界に限ったことではありませんが、“マイホームは生活の基盤”、些細なトラブルでも日常生活にダイレクトに悪影響を及ぼします。そのため、より一般消費者は被害者意識を強める傾向があります。加えて、拍車をかけるように営業マンの“行き過ぎた”セースルトークが火に油を注いでしまい、「クレーム産業」と言わしめる事態を作り出してしまっています。

 「情報の非対称性」(情報の格差)をどう解決するか?——

これは不動産業界が抱える永遠の課題といっても過言ではありません。そこで、消費者保護ならびに紛争の未然防止のために「重要事項説明」が法制化されました。宅建業法によって契約締結前、宅建主任者に重要事項を説明させることが義務付けられています。

このたび、投資用マンション等の悪質な勧誘に関するトラブルが急増していることに鑑み、宅建業法施行規則の一部改正が行われました。そして、今年(2011年)10月1日から施行されます。一体どのような点が見直されたのか、以下、その改正内容を見ていくことにしましょう。


迷惑を覚えさせるような時間に電話したり訪問することも、今後は厳禁!

・「朝10時から15時間に及ぶ勧誘で無理やり契約させられた」
・「水まわりの点検のはずが投資用マンションの勧誘だった」
・「断り続けると営業員に胸ぐらをつかまれ、足を蹴られた」

いずれも昨年11月、国民生活センターのホームページに掲載された投資用マンションに関する悪質な勧誘の実例です。2005年には2837件だった相談件数が、2009年には5355件、翌10年には5548件にまで急増しています。しかも、驚いたことに「強引・強迫」に関する相談内容が大半を占めているというのです。もはや待ったなし、看過できる状態ではありません。

マンション投資への悪質な勧誘に関しては、今年3月に行われた行政刷新会議の規制仕分けでも取り上げられました。そして、改革の方向性として「法的措置について検討する」との評価結果が出されました。

こうした流れも後押しし、今秋、ようやく法制化にこぎつけることができました。今回の改正によって宅建業者(不動産会社)は、投資勧誘する際、次の行為が「禁止行為」として行えなくなります。

  • 勧誘に先立って宅建業者の商号または名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をすることが目的である旨を告げずに勧誘を行う行為
  • 相手方が契約を締結しない旨の意思や、勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為
  • 迷惑を覚えさせるような時間に電話したり訪問する行為
  • 深夜または長時間の勧誘など、私生活あるいは業務の平穏を害すような方法で相手を困惑させる行為

発意のきっかけは「投資用」マンションの悪質勧誘対策ですが、当然、「実需用」マンションにも準用されます。これからマイホームを購入しようとう人は、今回の法改正をしっかり頭に入れておいてください。


続いて、次ページでは売買契約において「暴力団を排除するための施策」をご紹介します。