マンション管理/マンション管理・購入後の基礎知識と注意点

受託戸数ランキングに見るマンション管理業界の勢力図(2ページ目)

今、マンション管理市場では大手の寡占化が進んでいます。資金力・ブランド力・営業力を武器に、シェアの独占化が進行しています。小規模管理会社は大手の“草刈り場”と化しているのです。そこで、加熱するマンション管理市場の現状を、各種ランキングを交えながらご紹介します。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


繰り広げられる買収合戦  安定収益を目指し、規模拡大へと走る

イメージ写真

繰り広げられる買収合戦

かつて「ドミノ倒し」と揶揄(やゆ)された分譲マンション業者の連鎖的な倒産は、今ではまったく聞かなくなりました。マンション市場はかつての平和を取り戻した印象です。しかし、その裏側では管理会社の熾烈な買収合戦が繰り広げられていました。マンション管理業界の業界再編が加速していたのです。

2006年2月、三菱地所コミュニティーサービスと藤和コミュニティが合併し、「三菱地所藤和コミュニティ」となったのを筆頭に、日本ハウズイングとリロケーションサービスを全国展開するリロ・ホールディングスが、2008年10月に業務提携することを発表しました。

2009年1月には、野村リビングサポートがゼファーからゼファーの子会社であるゼファーコミュニティーの全株式を取得し、また、長谷工コーポレーションも子会社である長谷工アネシスを通じ、ニチモコミュニティ(ニチモの管理子会社)の全株式を取得しています。ご存じ、ゼファーもニチモも民事再生法の適用を申請し、経営破綻した分譲マンション業者です。「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもので、こうして業界地図は塗り替えられていきました。

増加戸数ランキング

 

果敢な買収劇はマンション管理業界の勢力図にも影響を与えており、積極的な規模の拡大を図った業者ほど、増加戸数ランキング(表1)では上位に位置する傾向が見て取れます。

たとえば、ランキング第1位の日本ハウズイングは、2009年10月にマンション開発・建設事業から撤退することを公表し、ストックビジネスに集中する姿勢を鮮明にしました。「オーダーメイド型管理」を合言葉に、各マンションの理事長宅を訪問営業する力の入れようです。また、東急コミュニティーは今年4月の組織改正で「マンション営業部」を新設し、受注営業力の強化を目指します。コミュニティワン(旧ダイアコミュニティサービス)は株主による陽光ビルシステムとマリモコミュニティの全株取得が奏功し、ランキング上位へと躍進を果たしました。

受託管理戸数ランキング

 

【表2】は受託戸数のランキングですが、上位15社のシェアは全体の46.1%に達し、大手の寡占化が進行しています。資金力を武器に買収を繰り返し、また、リプレイス営業(管理会社の変更)に力を入れていることが、大手の一極集中を加速させています。

マンション管理新聞社の調査では、受託管理戸数を減らしている管理会社もあり、その数は108社、全体(384社)の28%に及びます。なかでも受託管理戸数が1万戸未満の管理会社が、その4割近くを占めており、小規模な管理会社ほどリプレイスの対象にされやすい傾向なのが分かります。大手管理会社の“草刈り場”となっているわけです。

マンション市場が飽和時代を迎え、新規分譲が苦戦する中にあって、生き残りをかけたマンション管理大手は買収とリプレイス営業でさらなる規模の拡大を図ります。その一方、小規模な管理会社は受託マンションを横取りされ、規模の縮小を余儀なくされていきます。今後、ブランド力のある大手が市場を席巻するようになるのです。ストックビジネスが脚光を浴びるなか、マンション管理業界はさらに過熱度を増していくことでしょう。







  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます