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マンションの資産価値は「売りやすさ」「貸しやすさ」によって評価される。

2012年8月に消費税法案が参議院を通過・成立して以降、マスコミに先導される形で消費増税のマイホームに与えるインパクトが盛んに議論されるようになった住宅市場。各メディアからは連日のように「増税前」対「増税後」のどちらに取得するのか得なのか?―― といった損得を中心にした情報ばかりが流され、マイホーム検討者は翻弄(ほんろう)される格好となりました。

ところが、消費税率が8%に引き上げられてからは途端に見る影もなくなり、メディアにとっては“過去の話題”となってしまった印象です。住宅販売の現場でも、モデルルーム来場客を刺激する営業トーク「増税前がチャンスです」といったフレーズは聞かれなくなりました。

現在、マイホーム購入を考えている人にとっては、“ノイズ”に振り回されることなく、じっくり腰を据えて検討できる環境が戻ってきました。目先の損得に目を奪われず、原点回帰できる時間がやって来ました。今こそ住宅選びの本質を思い出す時期です。

今こそ思い出せ!住宅選びの本質は「売りやすさ」「貸しやすさ」 

私ガイドの思い描く住宅選びの本質とは「売りやすい」「貸しやすい」―― つまり、流動性やリセールバリュー(再販価値)を内包した資産性の高さを兼ね備えた住宅を選ぶことが、失敗や後悔を伴わない成功の方程式と考えています。

日本の住宅は築年数が20年を経過すると、減価により評価価値はゼロ同然になってしまいます。欧米に比して、建物の維持管理を推し進める経済システム・社会システムが十分に機能していない点が原因の1つとして考えられており、その結果、日本全体(マクロベース)では約500兆円もの経済的・社会的損失につながっているとされています。わが国のGDP(国内総生産)に匹敵する金額です。

そこで、国を挙げてこれまで軽視されてきた中古住宅のバリューアップを図り、国策としてストック重視社会の実現を目指すようになりました。新築からの経年(築年数)によらず、良好な品質や性能を保っている住宅は、その努力に見合うだけの換価価値が与えられる市場の整備が進んでいます。マイホームの資産価値を維持向上させていくという経済的な動機付けが存在すれば、「いいものを作り、長く大切に使っていこう」という風土が醸成される住宅社会を構築し、根付かせようとしています。

住宅履歴情報とは、施工から維持管理までの履歴を一元管理した情報 

ただ、「マイホームの資産価値を維持向上させる」と言葉で言うのは簡単ですが、具体的にはどうすればいいのでしょうか?――

現在、国が本腰を入れているのが住宅履歴情報の作成・蓄積です。住宅履歴情報とは、新築時の設計図書や施工内容のみならず、定期点検やリフォームを実施した際の工事内容などを一元的に蓄積したマイホームに関する履歴情報をいいます。

2007年に自民党政務調査会から打ち出された「200年住宅ビジョン」に盛り込まれたことで、こうした考え方が広く知れ渡るようになりました。さらに、2009年6月に施行された「長期優良住宅促進法」では認定基準の1つとして制度化されています。維持保全計画(建築後の定期的な点検や補修の計画)の作成、および当該計画の適切な実施が長期優良住宅の認定要件になっています(下表参照)。

長期優良住宅の認定基準

 

まだまだ一般の人にまでは浸透していない考え方ですが、デファクトスタンダード化する日は遠くないでしょう。

そこで、次ページではマンション管理組合が住宅履歴情報とどう向き合えばいいのか、その接し方についてご紹介します。