1~2年後に、起業したい人が気をつけたいこと
「1~2年後には起業したい。でも現時点で何をしていいのかわからない、どんなことに気を付けて過ごせばいいのかわからない」といった声をよく聞きます。起業経験がなければ、起業するまでの間、常に不安な気持ちになるのは当然かもしれません。実際に起業する段階で、起業準備中の行動が良くも悪くも影響を与えることがあります。そこで、1~2年後に起業したいと考えている人が、知っておくべきこと、何に気を付けて過ごすべきなのかについて解説します。
1.安全に自己資金を貯めること
自己資金は安全で換金性の高い方法で貯めよう
- タネ銭がなければ、事業を始めることができないこと
- キャッシュフローが安定するまでの食いぶちとしてのお金が要ること
- 創業融資を調達する際に自己資金額が審査に影響すること
の3つです。詳しくは「自己資金はどのくらい? 起業での資金調達」をご参照ください。
起業を決意した時点で生活を切り詰め、なるべく多くの自己資金を貯めるようにしましょう。その際に気を付けたいのは、貯金の方法です。できるだけ、定期積金、定期預金など安全で換金性の高い手段で貯金するようにしてください。
起業までの1年間を何らかの手段で運用して、なるべく増やそうという気持ちになるのはよくわかります。
例えば、自己資金として当てにしている資金を株式投資などリスクの高い投資で運用するケース。その場合、会社設立時に株式のまま現物出資はできないため、現金化する必要があります。仮にその時の相場が低い状態だとしても、泣く泣く損切りしてでも換金しなければなりません。結果、起業時に見込んでいた自己資金が足りなくなってしまうケースもよくあります。
ワンルームマンションなどの不動産投資の場合も、売却して換金すること自体、時間的にも不確実で起業の時期にも影響を与えます。これも避けるべきでしょう。
2.お金の使い方に気をつける
標準的な起業資金の調達方法は、まず自分で十分な自己資金を用意し、足りない分は日本政策金融公庫や自治体の創業融資を借りてまかなう方法です。その際には、きちんとお金を返していけるような人物かどうかも審査されます。金融機関としては、可能な限りの情報を集め、この点について様々なチェックを行います。税金などをきちんと支払ってきたか、派手なお金の使い方をしてこなかったかなど、特に起業前1年間のお金の使い方が審査に影響を与えます。実際に、創業融資を受ける際、過去1年分の個人の通帳の提出を求められます。そういったことに備えて起業準備中、以下のようなことに十分に注意しましょう。
■個人信用情報
創業融資の審査にあたり、金融機関は個人信用情報の記録をチェックします。個人信用情報に載るようなお金のトラブルは避けてください。自己破産など法的なことはもちろんですが、クレジットカードの滞納などにも注意したいところです。
■税金の滞納
税金の滞納も融資審査に悪影響を与えます。自動車税などの少額の税金やわずかな滞納期間であろうとも影響があります。納付期限に注意して早めに納税するなど、滞納には十分に気をつけましょう。
■余計な借金を控える
無駄遣いを最小限に抑え、余計な借金を控えるようにしましょう。特に、消費者記金融からの借入やカードローンはなどの記録が残っていれば、心象は悪くなります。
3.万全の準備を心がける
ガイドが多くの起業家をサポートしてきて感じること。それは、起業して成功するには厳しい現実を乗り越える必要があるということです。起業当初から既存の競合他社と同条件で戦う必要があるのですから。例えるなら、K-1のリングに素人がいきなり上がって対戦して勝たなければならないような状況です。そのためには、リングに上がる前にコーチと共に十分なトレーニングをして基礎体力をつけ、相手を研究し、戦法をよく考慮してから戦う必要があるのです。正しい知識を身につけ、万全の準備をしておくということです。詳しくは「会社員時代(起業・独立前)に準備しておくべきこと」をご参照ください。
起業準備中から強く認識するべきなのは、起業したら、会社員時代のように、お金の心配をしなくても毎月定期的に給料が入ってくる生活ともおさらばということです。業績はそのまま会社の存続自体を左右し、自分で稼いでこなければ、生活費も捻出できない厳しさが待ち受けています。家族を養っているケースではなおさらです。自分で大丈夫だと確信を持てるまで、万全の準備を心がけましょう。