その背景には、少子化、核家族化、ご近所付き合いの希薄化などにより、小さな子どもと接する経験を出産まで経験できないことも影響しているかもしれません。ある日突然、小さな赤ちゃんのお世話がはじまる中、一番相談相手になって欲しい働き世代のパパは夜遅くに帰ってくる……といった、現代社会ならではの「日中母子家庭状態」の孤立感とストレスがあると言われています。
今回は、睡眠改善インストラクターとして『快眠のための朝の習慣・夜の習慣(大和書房)』で快眠術やストレス・コーピングについて著されたり、ご自身も一児のママとして一人で抱え込みがちな子育ての悩みをツイッターで解消することを『ママのための子育てツイッター入門(D21)』で提案するなど、女性と睡眠とストレスについての改善を各方面で提案されている内海裕子さんにお話を伺いました。
ママのメンタルヘルスが激変する産前・産後
ツイッターは育児の味方!?
――女性は妊娠・出産でメンタルヘルスが激変し睡眠にも影響すると言われていますが……。
女性の一生はホルモンの一生と呼ばれるくらい、性ホルモンが大きく推移し変化します。
多くの女性が経験されているかと思いますが、例えば月1回の生理のような性周期の変動でも、ちょっとイライラしてしまったり、不眠になってしまったり、逆に過眠気味になってしまったりしますよね。
ホルモンはココロとカラダに大きく影響を与えます。
大人になってからの場合、妊娠・出産、その後の産褥期(さんじょくき)、更年期といった女性特有のライフサイクルに伴う変化は、特にホルモン環境に影響を及ぼし、心理構造にも大きく影響を与え、ストレスも普段以上に強く感じられるようになったり、眠りやメンタルヘルスにも大きく影響してきます。
私も経験しましたが、産後数日間の間に多くの女性がマタニティーブルーズを発症します。情緒不安定な状態や、抑うつ気分、不安感、イライラなどの精神状態がありますが。その中に不眠感などの睡眠障害を訴える率も急増します。マタニティーブルーズの症状は数日でおさまるケースがほとんどですが、睡眠障害が深刻になると産褥うつ病や、育児ノイローゼにも進行するケースがでてきます。
――赤ちゃんの睡眠周期も生まれたばかりは不安定ですよね
マタニティーブルーズを発症する時期が終わっても、赤ちゃんの睡眠周期は安定しません。3~4ヶ月頃までは、赤ちゃんは昼夜の区別はまだつかないので、3~4時間の睡眠とその間の授乳が繰り返されます。
必然的にママは夜中に何度も起こされることになり、睡眠不足になりがちに。ホルモン環境が大きく推移し、睡眠が不足しがちな状況の中、誰にも育児の相談をできずに小さな赤ちゃんのお世話に一人で立ち向かうことになることが多いので、ママのストレスは増大し、さらに睡眠が不足し、脳の疲労回復をはかりづらくなるとイライラ感増し、情緒も不安定になりやすくなります。
ちなみに、平成21年の厚生労働相による「虐待で死亡した子ども」の年齢別の推移を見ると、圧倒的に0歳児の子どもが多く、その約8割が生後4ヶ月未満という結果が出ており、これはちょうど、赤ちゃんの睡眠周期が安定しはじめるまでの時期と重なっています。
また、出産後初めての乳児健診も4ヶ月目から始まるので、小さな赤ちゃんを抱えて行動範囲を広くしにくい中で、なかなか専門家からのアドバイスもうけにくい状態が続きます。