【JR青梅線】
当該ハイキング地図 「山と高原地図23奥多摩」(昭文社945円)青梅線も線の両側に尾根が走っており、いくつものトレランコースが取れます。それも手前ほど初心者向き、奥に行くほど経験者向きの手強いコースになるので、初心者にはコースの選び方が簡単です。
(1)北側 東青梅駅または青梅駅~三方山~榎峠~高水山~岩茸石山~惣岳山~御岳駅
高水山の山頂から近い常福院
ハイキングコースとしては2回分です。初心者にとってはこのすべてを走破するのはかなりハードでしょう。ほぼ中間地点の榎峠がコースを二分する中間点になります。全コースを走破するつもりなら、スタートは御岳駅とします。ただ、いきなりの急登となるので、準備運動を念入りに行い、最初の山、惣岳山まではおとなしく登りましょう。惣岳山を省略し、川井駅から八桑経由で岩茸石山に登るなら、八桑までの車道走りがよいウォーミングアップになります。
(2)北側 奥多摩駅~本仁田山~川苔山~赤杭尾根~古里駅(または獅子口小屋跡~川井駅)
川苔山山頂はなだらかで広いが日陰が少ない
本仁田山へは奥多摩でも屈指の急坂があります。ここでは無理しないこと。川苔山山頂についての体調や時間でその後の下山コースを決めます。
一般的にはトレランを満喫できる赤杭尾根経由。ただし、途中に危険箇所はありませんが駅までエスケープルートがありません。
走り足りない方は、川井駅~獅子口小屋跡のコース。この方が距離が長いのですが、林道がほとんどです。ところどころにキャンプ場や人家があります。
川苔山山頂で思ったより時間を過ごしたとか、体調が悪い人がいるなら鳩ノ巣駅へ下ります。距離も短く山腹を巻いた傾斜の緩い安全なコースです。
(3)南側 東青梅駅または青梅駅~馬引沢峠~梅ヶ谷峠~宮ノ平駅
馬引沢峠がエスケープのポイントですが、距離も短く危険な箇所もないのでどなたでも完走できるでしょう。入門コースの中の入門コース。
(4)南側 日向和田駅~三室山~日の出山~御岳山~大岳山~鋸山~奥多摩駅
大岳山頂からの展望。富士山の好展望台
三室山~御岳山部分だけを走るならどちらから出発してもいいですが、大岳山を含む場合は奥多摩駅を出発地点にします。鋸尾根の通過が険しいからです。奥多摩駅から鋸山へは、大ダワまでの車道を頑張って走って上るコースや、駅に近い愛宕山の急で長い石段を登るコースなどユニークなコースがあります。大岳山山頂と大岳神社の間の滑りやすい急坂も慎重に通過を。
【西武池袋線・西武秩父線】
当該ハイキング地図 「山と高原地図22奥武蔵・秩父」(昭文社945円)奥武蔵を穿つ高麗川の谷を秩父まで伸びるのが西武池袋線・西武秩父線です。間違われやすいのですが、西武池袋駅から吾野駅までは西武池袋線、吾野駅から西武秩父駅までが西武秩父線となります。しかし、飯能駅~西武秩父駅すべてを西武秩父線として紹介している記述もよく見られます。
さて、この両側も手頃なトレランコースがいっぱいです。特に北側は尾根のほとんどに「奥武蔵グリーンライン」という車道が通っており、いざというときは頼りになるのですが、トレイルを走りたければ、山に飛び込んだり車道に出たりと落ち着かないことになります。
(1)北側 高麗駅~日和田山~顔振峠~関八州見晴台~飯盛峠~刈場坂峠~丸山~日向山~横瀬駅または芦ヶ久保駅
高山不動奥の院がある関八州見晴台。名前の通りの大展望地
飯能市街地の近くからから秩父市街地の近くまで長い尾根です。低山が続きますが相当走り慣れてないと一気の縦走は困難です。ハイキングなら3回分は十分にあるでしょう。数回に分けて縦走しましょう。
飯盛峠から丸山までが比較的山深い区間なので、この区間を入れるなら前半に設定してください。その他の区間はエスケープルートが豊富ですし、グリーンラインのすぐ近くまで人家があるのでいざというときも安心です。
(2)南側 飯能駅~天覧山~多峰主山~久須美坂~天覚山~大高山~吾野駅
ゴルフ場のすぐ脇を走ったりする低山続きのなだらかな尾根道です。難易度は吾野駅に近い方が高いので、原則からすればこの逆コースとなりますが、それほど気にするほどの差はありません。
(3)南側 吾野駅または西吾野駅~子の権現~伊豆ヶ岳~山伏峠~武川岳~二子山~芦ヶ久保駅
ハイカーがちょっと少なめの武川岳
ハイキング2回分のコースです。山伏峠~芦ヶ久保駅の間はエスケープルートが少ないのと人気もグンと減りますから全コースを縦走する気なら逆コースです。
(4)U字型周回 吾野駅または西吾野駅~子の権現~伊豆ヶ岳~正丸峠~刈場坂峠~顔振峠~吾野駅
大きなわらじがシンボルの子の権現
正丸トンネルの真上にある正丸峠で南北の尾根をつなぎ回遊するコースですが、エスケープルートが多いのでコースを自由に調節できます。出発駅を西吾野駅、さらに正丸峠と奥まるほどにコース長が短くなります。
WEBに紹介されているタイムを鵜呑みにしない
コースがどの程度の距離があり、どの程度の時間がかかるのかを予想する上で、ネットで紹介されるハイキング報告や市販のハイキング地図などが参考になります。一般に上りではハイキング標準タイムの80%~40%、下りでは90%~50%程度です。
ハイキングの標準タイムと異なり、トレイルランニングの標準タイムはたいへん算出しにくいのです。それは、体力や経験、技術で所要時間が大きく異なるからです。初心者と経験者という違いだけでなく、上りは得意だが下りは苦手という人がいます。その反対の人もいます。したがって、WEBに紹介されている他人のタイムがあなたに合っているかどうかはわかりません。注意が必要です。ただ、どんなランナーでもハイキングの標準タイムよりは早く移動できることは間違いないようです。
何回か経験し、上りではハイキングの標準タイムの何パーセントに時間を短縮できるのか、同じように下りではどうなのかを知れば、その後は計画を立てやすくなります。はじめのうちは控えめな短縮率で計画をたてましょう。
トレイルランは飽きずに長時間行動できますし、筋肉をバランスよくつけることができます。心肺機能も高まります。この夏積極的にトレランを行えば、秋のロードレースはきっと自己新を連発できますよ。