リーダーシップ/モチベーションアップさせるリーダーシップ

仕事? 給料? 部下の欲求に応じたリーダーシップ

リーダーたるもの、組織メンバーの欲求レベルをきちんと掴み、それに応じたリーダーシップを執ることが求められます。今回は有名なマズローの欲求5段階説を軸に、あるべきリーダー像を考えてみたいと思います。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

リーダーたるもの、組織メンバーの欲求レベルをきちんと掴み、それに応じたリーダーシップを執ることが求められます。今回は有名なマズローの欲求5段階説を軸に、あるべきリーダー像を考えてみたいと思います。

人間は5段階の欲求を持っている

マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説(ガイド作成)

会社の研修などでもよく引用される「マズローの欲求5段階説」は、人間の内面的な欲求を示したものです。第1のレベルが生理的欲求、第2のレベルが安全の欲求、第3のレベルが所属と愛の欲求、第4のレベルが承認の欲求、第5のレベルが自己実現の欲求と呼ばれています。

1990年初頭までのバブル期をピークに成長期を終え、現代の成熟期である日本は低次のレベルはすでに満たされ、国全体としては第4、第5のレベルに来ていると認識できるかと思います。

しかしながら、今回の東北関東大震災で被災された方々は一夜にしてリセットされ、第1のレベルから再構築していくことになるのです。被災された方々と国や電力会社との当事者間の欲求レベルの差が、様々な軋轢を生んでいるという解釈もできるはずです。

部下の欲求レベルに応じたリーダーシップ

このような欲求レベルを考えながら、組織メンバーをリードしていくことも一手でしょう。どのレベルまで部下の欲求があるのかを把握することは、メンバーのモチベーションを上げ、強い組織・強いチームを作るには必要です。

例えば、「うちの会社は労働条件が悪い、給料が少ない」と多くの部下が感じているのであれば、リーダーとして自らの行動を改善するという視点ではなく、会社の制度・仕組みに対してリーダーとして改革を促していくことです。評価や報酬制度、福利厚生面などの仕組みを変える必要があるかどうか、検討テーブルに載せるという役割です。 

「うちの会社は業績が良いものの、成果主義の反動か社内がギクシャクしている。社内コミュニケーションが悪い」ということであれば、リーダーとして、社内のメンバーとの円滑なコミュニケーションをすべく策を講じることが求められます。

第3のレベルの所属欲求が強いことは、日本人の国民性(集団的パーソナリティー)からも読み取ることができます。詳しくは、「リーダーシップのタイプ」をご覧下さい。

欲求レベルでの効果的なリーダーシップ

仕事をする上での人間関係・相互依存関係が構築されていれば、非常に仕事がやりやすくなります。特に、現在の日本の成熟度からすれば、第3の所属と愛の欲求と、第4の承認の欲求部分が動機づけと関係が深いでしょう。さらに、仕事を通じての自己実現ということも視野に入れる必要があるでしょう。

第3の所属と愛の欲求では、メンバーに自身の存在意義や存在価値を伝えることは効果的でやる気を与えます。

第4の承認の欲求は、大きな責任と権限を持たせ、プロセスと成果に関して、褒めたり認めたりすることが有効なモチベーションを上げる方法です。

第5の自己実現の欲求は、自分の理念や価値観に基づき、自身の未来像(理想像や目的地)に向けて自らを高めていこうとする欲求です。仕事を通じて、会社や組織のビジョンと自分自身のビジョンをいかにシンクロナイズ(調和)させるかがポイントであり、それが一致できれば理想の組織と言っても過言ではないでしょう。
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