革靴のつま先補強、革かラバーかスチールか

革靴のつま先を補強修理!種類別メリット・デメリット

レザーソールの靴を履いていると、つま先の削れは避けられません。いずれかのタイミングで何らかの素材で補強工事をしておけば確実に長持ちし、それこそ底に穴が開くまで履くことだって可能です

レザーソールのみならず、その他の素材でできたアウトソールについても解説している「靴の『底』について考えてみる」シリーズでは、前回ご紹介した「前半分ラバー・後半分レザー」のものを見てまいりました。新品の靴だと案外見受けられないのは、見た目以上に多くの手間とノウハウが製造に求められてしまうからですが、実用性には非常に富んだアウトソールですので、もうちょっと多く出てきて欲しいものです。例えば本降りの雨ではないけれども、ちょっとした「にわか雨」が降りそうな日には間違いなく重宝する底材ですしね。

さて今回は、その種の複合ソールの応用編。レザー製のアウトソールの欠点の一つとして、「つま先」の部分がどうしても早く摩耗しがち、というのが挙げられますが、それをどのような素材で補強すべきかについて考察してみたいと思います。

オールソール交換をするにはまだ程遠い段階ながら、レザーソールの靴を履き続けた結果、そこだけ妙に早く擦り減ってしまい履き心地が心もとなくなった経験は、程度の差こそあれどなたにでもあるのでではないでしょうか?

一方でこの「つま先補強」については、リペアショップのメニューだけでなく、底面本体に段差が付くもののDIYショップのような所にも様々な素材で対策商品が売られているので、履いている靴がイザ対応すべき段階になった時、選定に結構悩んでしまうのも事実です。各素材の長所や欠点が解っていれば、「自分の場合のベスト」を導き出すのも絶対に早くなるはずですが、これも意外と語られていないし…… ということで、次のページ以降で代表的な3つの素材について、その特性や足との相性について色々考えてみます!
   

革靴のつま先補強1:着用感に優れた牛革補修!

レザー補強

着用感の良さを最重視したい方にお勧めなのが、レザーによるつま先補強です。ただし同じ素材であるが故に耐久性は劣り、前と同様に削られていってしまうのは仕方のないことでしょう

まずはアウトソールと同種の、すなわち革によるつま先補強。これを用いるメリットは、何と言っても「履き心地に変化が殆ど生じない」点でしょう。厳密にはレザーソール本体とは微妙に異なる革で補強されてしまう可能性も高いのですが、同じ素材であることは確かで(例えば革の銘柄にまでこだわってしまうと、もうキリがなくなります。 まあ、その気持ちも物凄く分かりますが)、その分靴にもそして履く人にもやっぱり早く馴染み、着用感も安定します。

でも同じ素材で馴染みが早いということは、その分耐久性には劣り、補強前と同様のスピードで摩耗が進んでしまうことも意味します。オールソール交換前にもう一度つま先補強、ということもあり得る訳で、その場合は最初の補強時に比べレザーソール本体自身の劣化も進んでいるので、より広い部分を交換せざるを得なくなる可能性もあります。その結果、長い目で見れば他の素材を用いた時以上に費用がかさむ場合もあり得るので、どちらかと言えば履き心地重視の方向けの補強と言えるでしょう。
 

革靴のつま先補強2:最も一般的なラバーによる補修!

ラバー補強

履き心地と耐久性の双方でバランスが取れているせいか、最もポピュラーなのがラバーによるつま先補強です。近年は新品の段階でこれが施されている既製靴も増えてきています

DIYセンターで売られている修理用品ではこの手のものが圧倒的に多いことからもお解りの通り、ラバー(合成ゴム。何故か「ナイロン」と呼ぶリペアショップもあるようです)を用いたつま先補強は最もポピュラーな補強方法です。

革製のヒールで最もお馴染みのもの=後部がラバーになっているものと似た発想で考えられたリペアで、履き心地と耐久性、そして修理費用のバランスが最も取れているのは、恐らくこれでしょう。一部の既製靴では新品の段階から施されている場合も見受けられ、様々な履き手の歩きグセや使用環境に対し許容範囲の広い手段であることを証明するかのようです。

個人的には、「つま先補強」の修理を初めて経験する際には、まずはこの素材から試してみるのをお勧めしたいと思っています。これで足への感触や使い心地を確認した上で、もっとしなやかさが欲しかったらレザー、もっと耐久性を重視したいのならば後述するメタルと、今後の補修方針を決めて行けば良いからです。もちろん、「ラバーによる補強で通し続ける」という選択肢も大いにアリですよ。
 

革靴のつま先補強3:耐久性ならメタル補修がピカイチ!

メタル補強

何といっても耐久性抜群なのが、スチール等のメタルによるつま先補強です。硬めの着用に違和感を覚えないのであれば、この補強は新品の段階でいきなり施ししてしまうのがお勧めです

削られ難い、すなわち耐久性を最重視したい方ならば、選ぶべきは当然スチール(鉄)等のメタル系の素材です。ただし他の素材のものに比べ足馴染みには劣り、着用感が重く・硬くなってしまうのは致し方ない所です。また日本人には結構多いのですが、足運びが摺り足気味の方だとメタルによるつま先補修は、歩行時の「滑り」に対するリスクがどうしても増してしまうことは、知っておいても損はないかと思います。

このメタル系で全く大丈夫! と確認できた方ならば、お勧めなのは靴がまだ新品の時=履きおろす前の段階で、いきなり靴をリペアショップに持ち込んで、つま先を予めこれに代えてしまうことです。その理由は、単にこの素材の硬さ故オールソール交換まで十分持ってしまうからだけではありません。実は殆どの場合、使用後に付け替えるより修理代が掛からないからで、大分擦り減ってからこれを装着しようとすると、一旦レザーによるつま先補強で言わば土台を固めた上でこれによる補強を施さざるを得なくなるので、非常に大仕事かつ不経済なのです。
 

直すタイミングを知っておくのも肝心!

ウェルトまで削れてしまうと……

グッドイヤー・ウェルテッド製法の靴でこのようにつま先の削れがそのウェルトまで来てしまうと、単につま先補強ではなく「ウェルト交換を含むオールソール交換」をせざるを得ない場合もあり得ます。早めの処置が肝心!

なお、つま先の補修を施す場合「どの段階で行うべきか?」の目安ですが、これは靴の製法やレザーソールの層の数で若干異なります。例えばグッドイヤー・ウェルテッド製法で底付けされた靴ならば、ウェルト=出し縫いが施されている細革が一応のマーカーになってくれます。これに摩耗が掛かってしまう直前までに補修する必要がある訳で、それの存在しない製法で底付けされた靴、例えばマッケイ製法の靴ならば、つま先の断面が半分程度削れた時点が修理のタイミングだと思って下さい。

またシングルソールではなく、ダブルソールハーフミッドソールの仕様の靴の場合は、ミッドソールの断面に摩耗が掛かってしまう直前までに補修する必要があります。意外と思われるかもしれませんが、これらの仕様のアウトソールは分厚い分、「返りグセ」が付くのに時間が掛かる結果、歩行時につま先を摺り易くなるため、それが付くまではシングルソールのものよりつま先の減りが、むしろ早く進行しがちです。底自体が厚い割に早目のつま先補修を求められる場合もあるので、油断は禁物ですよ!

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