忘れがちなメンタルリスクが高い従業員
普段からストレスに弱い従業員もいます
■ストレスを感じやすい従業員
もともとストレスを感じやすい従業員がいます。普段の部下管理の中で、誰がストレスに弱いか把握しておきましょう。
■障害者
特に情報入手が困難な聴覚障害者や、精神障害がある従業員は要注意です。
■うつ病休職後に復職した従業員など
うつ病などの精神疾患で休職中の従業員はもちろん、職場復帰した従業員の状況もチェックが必要です。
■長時間労働、深夜労働に従事する従業員
普段から精神的な負荷が高くなっている従業員も、災害でさらに負荷がかかることでバーンアウトなどのメンタル不調に陥ります。労働時間からメンタルリスクが高い従業員をサーチします。
メンタルリスクの評価を行う
災害が発生したら、メンタルリスクが高くなる従業員グループにごとに、メンタルリスクを評価します。評価は「災害の大きさ」と「継続する期間の長さ」、「個人への影響度」と「メンタル不調者発見の困難さ」で評価すればいいでしょう。それぞれ「極めて大、大、中、小」などの標語で評価します(最終的にはそれぞれの標語を点数化して、数量的に把握すると分かりやすいです)。たとえば震災で工場設備の一部に被害が出て、復旧に2週間程度の期間がかかり、1日2時間程度の残業を余儀なくされるケースでは、「災害の大きさ」は「中」で、「継続する期間の長さ」も「中」、「個人への影響度」は「小」と判定すればいいでしょう。なおこの被災した工場の上司がメンタルヘルスに無頓着であった場合などは、「メンタル不調者発見の困難さ」は「大」と評価します。
リスク対策の優先順位づけを行う
メンタル不調となるリスクについては、リスク評価の結果をもとに優先順位をつけて対策を実施します。すべての従業員に対して手厚いメンタルリスク対策を講じることは、コスト的に難しいからです。リスクが非常に高いグループについては、精神科医などとの面談を設定したり、人事部が直接現地に出向いて実態を把握することが必要です。リスクが低いグループについては、とりあえず上司が状況をモニタリングするだけでも良いかもしれません。
今回の東日本大震災の場合は、被災地従業員向けのメンタルヘルス講習会を開催した企業や、外部機関と提携して相談窓口(カウンセリング)を提供した企業もありました。
リスク対策はそれぞれの企業が置かれている状況に合わせて、実施して頂ければよろしいでしょう。
次のページでは、事業継続計画との関係について説明しています。