ここにあると、確かに便利!
日本の小売形態の中で今、ひときわ注目を集める「エキナカ」。電車を待ったり乗り換えるついでに、わざわざ改札口を抜けることなく天候を気にすることもなく、ちょっとした買い物や飲食ができる訳で、ひとたびその便利さを経験すると「こんな商品も扱ってくれたらなぁ……」との期待が確かに膨らむ夢の空間です。
紳士靴の世界でも、その利便性に鋭く目を付けたメーカーが遂に出てまいりました! そう、日本のビジネスマンの足元を長年支え続けてくれているスコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)です。東京の北の玄関・JR上野駅に3月31日にグランドオープンしたエキナカ「ecute上野」に、直営店舗である「スコッチグレイン ecute上野店」を開店したのです。
店内は奥行きがありながらも明るく開放的で、この取材中に実際に何人もいらっしゃいましたが、「ついついフラッと……」入ってゆけてしまいそうな雰囲気です。試着コーナーだけでなく、ウィスキーを用いた靴磨き方法であるこのメーカーの十八番「モルトドレッシング」を、お客様が指導を受けながら直に経験できるような空間も十分に有しているのが嬉しいところ。
また、このスペースは別会社が運営するクイックリペアコーナーとも共有しているので、靴の修理(純正パーツではないもののスコッチグレインの靴の修理も勿論できます!)を待ちながら、次に買う靴の候補をあれこれ見つけ出すと言った時短合わせ技も可能になっていますよ。
大都会こそ必携の、「滑りにくい靴」!
スコッチグレイン ecute上野店では、このメーカーを代表する紳士靴だけでなく、このお店だけでしか買えない限定モデルも用意してくれました! まずはビジネスシューズ編からご紹介。上の写真でお解かりの通り、一見ごく普通のドレスシューズのようで、実は「底」に凄い秘密があるものです。この着眼点に救われる人、読者の間でも相当多いのでは?
「ファイバーグリップ」と名付けられたアウトソールを装着したこのシリーズは、これまで我が国の紳士靴、特に正統派のドレスシューズではほぼ未踏の領域だった「アンチスリップ性」に着眼して誕生したものです。その秘訣は、下の底面の写真で濃淡のグレーの縞模様になっている部分。簡単に申せば、ここに極めて微細なグラスファイバーを、まるで剣山や霜柱のように地面と垂直に配列させているのです。
この底材は一部のカジュアルシューズに採用されたことがあるものの、底面を縫うグッドイヤー・ウェルテッド製法の靴に搭載されるのは間違いなく世界初のことで、先日の記事でもお話ししましたが、スコッチグレインのラバーソールにおける進取性を改めて垣間見せてくれています。
「ファイバーグリップ」シリーズの一大特徴である底面です。グレーの縞模様の部分に微細なグラスファイバーを地面と垂直に配列させています。とにかく、とにかく滑りにくい! 悪天候時以外にも使い出がありそうです。
ものは試しで、悪天候への強さで非常に定評のあるこのメーカーの「SGソール」と、このファイバーグリップソールとを、水に濡れた大理石の上で履いて比較してみました。前者も確かに他のアウトソールに比べれば断然滑りにくいものの、後者の方が「地面をがっちりグリップしてくれる」感覚が圧倒的で、これを履いていれば下手をしなくてもスケート場でも滑らずに済むのではないかと言うほどの安定感を得られます!
かと言って履き心地は決して固くないのが、何とも心憎い所です。靴のデザイン自体も極めてオーソドックスなものばかりなので、冬場に雪や氷で路面が滑り易くなる北国の方だけでなく、雨天時の大理石の床など意外なスリップポイントが多数潜んでいる大都会のビジネスマンにも、これは必ず役に立ちますよ!
これを履いて美術館めぐりも楽しそう!
スコッチグレイン ecute上野店限定販売である、「シルビアチェスター」シリーズの外羽根式プレーントウです。イタリア産のクラックレザーが持つカジュアル感と、鳩目を敢えて表面に出した「外鳩目仕様」との相性が抜群!
ecute上野店限定のスコッチグレイン、続いてはカジュアルシューズ編の「シルビアチェスター」。上下双方の写真ではやはり一見、なんてことは無さそうなプレーントウとローファーですが……こちらはアッパーの素材にご注目いただきたい! 何となく一般的なスムースレザーとは異なる、とは言え起毛系のものとは全く違う不思議な凹凸感のある革だと思いませんか?
実はこの質感、イタリア産の「クラックレザー」なる革を用いたが故のもの。クラックレザーと申せば、カジュアル系の鞄や革小物でご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらの革はそれらとは製法が異なり、いわゆる床ベロアに特殊なオイルを含ませて鞣すのを通じて、独特の風合いと色彩感を生み出しています。
アッパーの革選びに一貫した哲学、すなわち単に高品質であるのみならず鞣しの創意工夫も重視するスコッチグレインらしい、意欲的な選択と申せるでしょう。革の特性に由来する大胆な履きジワも魅力の一つになりそうで、因みにお手入れはミンクオイルで行って下さいとのことです。
こちらも「シルビアチェスター」シリーズのローファーです。ブラウンもさることながら、気持ち青みを帯びた「ブラックグレー」の色合いが、なんとも素晴らしい! 履き心地のみならず、お手入れの方法も愉しめそうです。
アウトソールはこのメーカーで長年好評を得ている合成底のテクノソールですが、色を思い切ってベージュにし、ソールとヒールの継ぎ目もデッキシューズのように斜めにするなど、リラックスした印象を持たせる心憎い演出もしっかり効いています。
ふと思い出すとこのお店のある上野駅は、東京を代表する大ターミナルであると同時に、上野公園や動物園、数々の美術館や博物館、それに買い物のメッカ・アメ横など、文字通り「東京の休日」を楽しむための最寄り駅。このようなカジュアル寄りの、しかし清廉さを忘れていない靴はそのような場に打ってつけな訳で、正に買うのに相応しい店舗に売っている一足です!
近未来を感じる一足は、エコロジーの結晶!
もうカッコイイ! の一言に尽きる、スコッチグレイン ecute上野店で先行販売される「SPIDER」ブーツです。奥のダークブラウンのものはスッピンの状態ですが、手前のブラウンのものは、オプションの「モルトドレッシング」が美しく施されています。
最後にご紹介しますのは、来年2012年に遂に開業する「東京スカイツリー」関連でこのお店で先行発売されるブーツ「SPIDER」です。シルエットそのものは極めて正統的ながら、アッパーの革の幾何学的なパターン取りは、その名の通りまるで蜘蛛の巣のよう! いい加減なモードブランドの提案する紳士靴より、遥かに近未来的かつ端正な顔立ちになっているのが写真だけでおわかりいただけるかと思います。
何を隠そうスコッチグレインの本社と東京スカイツリーとは、同じ墨田区にありしかも超ご近所! 新名所誕生を機に、この区の産業活性化を目指すべく始動した「すみだものづくりコラボレーション」を通じて生み出されたこのブーツは、見た目には想像できませんが、実はアッパーの革に他のスコッチグレインの靴を製造する際にどうしても出てしまう小さな革片を再利用した、エコロジー性に極めて富んだものなのです。
しかも、その革片は今や高級紳士靴のアッパーの代名詞となったフランス・アノネイ社のベガノカーフを奢っていて、それを片足で何と38パーツも用いて丁寧に縫い上げています。
色はブラウンとダークブラウンの2色が用意され、もちろんそのままの色合いで着用しても十分存在感があるのですが、ここはこのメーカーの得意技「モルトドレッシング」を、パーツ毎に微妙に変化させて施した上で履いてあげるのが粋と言うものでしょう!
それ、やってみたいけど自分でするには正直ちょっと面倒そう…… と思っていらっしゃる方には、このお店に別料金にて依頼することも可能ですのでご安心願います(税込み5250円)。因みにレザーソールの色は、当然と言えば当然の「江戸紫」です。
■商品情報
SCOTCH GRAIN SPIDER(品番ST634)
・モデル: 内羽根式プレーントウブーツ
・色: ブラウン・ダークブラウン(いずれもフランス・アノネイ社ベガノカーフの革片を縫い合わせたもの)
・底材: トップゴムレザーソール(江戸紫色)
・製法: グッドイヤー・ウェルテッド
・サイズ: いずれも23.5~27.0 EE
・価格: いずれも一足3万9900円
・モルトドレッシング仕上げオプション: いずれも一足5250円
いかがでしたでしょうか?スコッチグレインecute上野店は開店時間の長さも自慢!出勤前・出張前に急に一足必要になっても、残業で少し遅く帰ることになっても安心して立ち寄れる心強い存在です。ここでご紹介した限定品・先行販売品以外にも品揃えは豊富なので、皆さんの都合の良い時間に立ち寄られて見て下さい!
■SHOP DATA
スコッチグレイン ecute上野店
住:東京都台東区上野7-1-1
JR東日本上野駅構内3階改札内 ecute上野内
TEL:03-5826-5682
営:月~土08:00~22:00 日・祝08:00~21:30年中無休
HP:SCOTCH GRAIN スコッチグレイン ecute上野店 オープン!
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