少しずつかみ合わなかった歯車

3DSの図

一方で、この状態でも、しっかりコアユーザーが買い支えて堅調にスタートできた、というのは、DSブランドの底力を感じさせます。

タラレバの話をしても仕方がないんですが、話を分かりやすくするために、ここまでご説明した3つのポイントについて、つまり、発売時期、タイトル、広告の3つが綺麗に回る状況を想定してみたいと思います。キーになるのは、やっぱりソフトですね。つまり本体発売同時タイトル。任天堂が本体発売同時タイトルとして用意していたのは1本だけ、nintendogs+catsでした。となれば、当然このソフトを軸に戦略を構築していく、という考え方をするはずです。

nintendogs+catsの前作、nintendgsは約200万本を販売し本体を牽引し続けたキラータイトルです。となれば、その続編のnintendogs+catsもキラータイトルとして据えるのに十分なソフトです。ただし、それはあくまでライトユーザー向けなんですね。となると、3DSは発売の初期からライトユーザーを意識した売り方をする必要があります。

そうすると、発売日はやはりライトユーザーがどっと動く年末が良いということになります。そして、マス媒体に対する広告活動が非常に重要です。簡単に言えば、そろそろ年末でお財布のヒモも緩んでいるところに、CMなどで繰り返しnintendogs+catsを軸にしたCMを流し、ライトユーザーに対してクリスマスプレゼントなどの需要を向けて販売する、というのが分かりやすい売り方です。そこに、買う時はいつでも買うコアユーザーが乗っかっていくと、少し違った形が見えたかもしれません。

じゃあ、振り返って実際はどうだったのか、と考えると、これまでお話してきた通り、発売日は2月末で、地震の影響で発売後の継続的な広告活動が不十分になり、nintendogs+catsはライトユーザー向けのキラータイトルとして機能しきれませんでした。結果として、コアユーザーが多くを買い支えてそれなりに売れはするものの、DSをこえるまでには至らなかった、という状況が見えてきます。

3DSを3DSたらしめるソフト

ARゲームズの図

持っていない人に3DSを試してもらうと、すごく反応がいいのはパッケージタイトルよりも、内蔵のARゲームズだったりします。(イラスト 橋本モチチ)

というわけで、他のハードと比較すれば堅調ながら、期待通りといかなかった3DSは、地震の影響もあり、もう一度仕切り直して盛り上がりを作って行く必要があると思われます。nintendogs+catsそのものは、それこそ今後ライトユーザーに認知が広がれば長期に渡るセールスが期待できますが、盛り上がりという意味では、次のコンテンツを待つ必要があるかもしれません。その時、必要なのは何なのか、マリオか、ゼルダか。

ここで少しガイドの考えを言わせていただくと、そういった既存の看板タイトルはもちろん武器にはなるでしょうが、より重要なのは、3DSならではのタイトルでしょう。実は、内蔵ソフトのARゲームズ、顔シューティング、あるいはすれちがMii広場などは、実に上手に3DSの機能を活用しているんですが、内蔵ソフト故か、例えばARゲームスを遊びたいから買う、というような強い購買動機にはなり得ていないように思います。

かつて、nintendogsが、タッチペンや音声入力、すれちがい通信など、DSの機能をフル活用して新しいゲームを提案したように、3DSでしかできないような新しいタイトルの登場が、次のステップに進む鍵となるのではないでしょうか。

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【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)



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