前編では、免震とは具体的にどんな装置を用いたもので、所有者(居住者)にどのような利点をもたらすのかを中心に述べてみた。引き続き後編では、免震に適した敷地や建物の条件、デメリット、最新技術などについて述べてみよう。

免震構造に適した条件

目白ガーデンヒルズ

目白ガーデンヒルズ

耐震、制震、免震の3種類の概念のうち、どれが最も適しているかは、地盤の固さ、地形(「じがた」と読む。敷地の形のこと)、建物の形状によって異なるとされている。

なかでも免震が適しているのは、固い地盤であること、ひょろっとしたペンシル型ではなくずんぐりとした形状であること、そして建物ができるだけ整形であること、などだ。

しかしながら、免震建物の実績も増え、施工技術も進化した。最適な条件は条件として在るものの、いまではどのような状況にも応用できるようになりつつあるという。極端に敷地が細長い「目白ガーデンヒルズ」や建物を上から見るとYの字の形をした「加賀レジデンス」などはそうしたひとつの例といえよう。

免震のデメリット

ではここから、免震のデメリットについて言及したい。まず、その最たるものは、コストである。前編で述べたように、免震建物には支承とダンパー、さらにそれらの免震装置を設置する階層を用意しなければならない。耐震構造のみでは必要としないこうした装置や建造スペースがまるまるコストとしてはねかえってくるわけだ。

では、どれくらいのコスト増になるのか。それは最適な構造を決定付けるための要素であるところの、地盤の状態、敷地の形状、建物の大きさや形、などによって異なるそうだ。一概に「何パーセント増し」の方程式は残念ながら存在しない。

次に、免震のデメリットとしてささやかれる噂の真偽を確かめておこう。まず「強風に揺れる」であるが、これは木造などの比較的重量が軽い建物にかつてみられた現象だそうだが、マンションの規模ではその心配はまずないそうだ。「小さな地震は免震のほうが揺れやすい」も現実には起こらない。正確にいえば、免震装置が変形するほどではない小さな揺れは、一般の耐震建物と同じ揺れ方をする。逆にいえば、積層ゴムは巨大なエネルギーが加わらなければ変形しない強度を有しているのである。

次ページでは免震の「最新技術」と「長周期地震動」対策に触れてみたい。