足裏が痛くないはだし感覚シューズ
はだしによって足が強くなるという良さを、はだし感覚に近い着用感を持ったシューズで実現しようという、はだし感覚シューズが注目を集めています。日本にはマラソン足袋という製品がありました。私も運動会に「はだし足袋」というほとんど足袋、で走った経験があります。はだしでは足の裏が痛いが、はだしは足に良い、ということは多くの人が認めるところ。そこで、足の裏が痛くないはだし感覚シューズの出番です。そこで、
「ナイキ フリー」
「ニューバランス ミニマスコレクション」
「ビブラム ファイブフィンガーズ」
という各シリーズをご紹介したいと思います。今回は4月1日に最新の「ナイキ フリー ラン+2」が発売される「ナイキ フリー」シリーズと発売中の「ビブラム ファイブフィンガーズ」シリーズです。「ニューバランス ミニマスコレクション」は4月はじめにご紹介する予定です。発売も4月になってからです。
現代人の足は過保護
現代人の足が虚弱化しているのは、シューズにより過保護されているから、ということではだし教育を行っている幼児教育機関もあります。どのように虚弱化しているかというと、足の土踏まずが発達していないことと、足の指が使えていないという点です。
土踏まずが少ないということは、クッション役を果たす足のアーチが立ちないということですから、直立、歩行、走行の持久力が少なくなります。
足の指を遣わないと、踏ん張りがききません。バランスを保ちにくく、バランスを崩しやすくなります。左右にふらつくとか、蹴りだしをしないので、歩幅が短くなるというような足の運びになります。
足が強くなればすべてが強くなる
はだし感覚をコンセプトにしたナイキフリーの開発者であり、米国のナショナルチームに選抜されたほどのアスリートでもあった、ナイキアドバンストプロダクトエンジニア担当シニアエンジニアのトビー・ハットフィールド氏は、「シューズを脱ぐと足が強くなる。すべての動きは足から始まる。足が強くなればすべてが強くなるし、強いトレーニングを行えるようになる」と言っています。
アベベも私もはだしだった
確かに、昔の人は強かったです。練習量の違い、栄養その他のテクノロジーの違いから記録は現代の記録に遠く及ばないものの、マラソン足袋というわずかなクッションしか付いていないシューズ(?)でフルマラソンを走っていました。
「はだしとマラソン」という語句で結べば、この人をおいて他にいないというのが、ローマ五輪と東京五輪で連覇を遂げたエチオピアのアベベ・ビキラ選手です。ローマの石畳をはだしで駆け抜け見事に優勝、「はだしの王様」の異名をとりました。最初からはだしで走る予定ではなかったそうで、アクシデントからはだしで走ることにしたそうですが、急に予定していたシューズが履けなくなりはだしに変更してそれでも優勝という、ミラクルな優勝でした。
私も子供の時は、はだしの機会は結構ありました。下駄もよく履いていました。運動靴などなくて、運動会になると、まさしく足袋シューズともいうべき「はだし足袋」という履物を買ってもらったことを思い出します。
昔の人は、セルフパワーで移動する機会が多かっただけでなく、楽なシューズがなかったことも足を強くし、知らず知らずに体を鍛えていたのでしょう。
はだしに原点回帰
さて、アベベがはだしで優勝してから50年以上が経過し、いくつものメーカーがはだしシューズを発表しているのはなぜでしょう?
個人的見解ですが、マラソン人口が増えたことと大いに関係があると思います。
一つは、誰でも走るようになった。その結果現代人の足の弱さが浮き彫りになった。はじめは足の弱さをカバーするために、クッションと安定性の機能を高めていったが、それではいつまでたっても現代人の足の弱さは克服できない、足を強くするシューズもあっていいはずだ、と開発者が考えはじめたこと。
もう一つは、エリートランナーの走るトレーニング時間・距離の量がが限界に近付いており、日常的にトレーニングできてしまう方策はないかと、エリートランナーやコーチ陣が思い始めたこと。
こうしたことが背景にあるのではないかと思います、そのアイデアの発端が50年前に示されているのですから、まさに「温故知新」(昔の智恵をいつも脳裏におきながら新しい知識や技術を得る)ですね。