つる植物の女王、クレマチス
クレマチスとは、キンポウゲ科センニンソウ属の総称で、「つる」を意味するギリシャ語「klema」がその名の由来と言われています。名前の通り多くがつる性の多年草ですが、中には半つる性、木立ち性のものもあります。また常緑のものもあり、その花姿・形・色とも多彩な品種を持つ植物です。
またイギリスでは、「つる植物の女王」といわれるクレマチス。ガーデニングではバラとの組み合わせが大変美しく、人気があります。なお、ほとんどのクレマチスの花弁は退化していて、花弁に見える部分は萼片(がくへん)が変化したものです。
クレマチスのデータ
クレマチスの分類
パテンス系八重咲きのマリンブルー
また、交配種の親の特性から系統立てて分類することもできます。この系統分類については次項で詳しくご紹介しますが、未だ確立されたものではないのが現状です。
クレマチスの系統分類と特徴、主な品種
クレマチスの系統分類は、大体以下のようなものが挙げられます。うつむいて咲く、アルピナ・ウィリー
特徴:旧枝咲き。花は釣鐘状の中輪。耐寒性は強いが、暑さに弱い。
主な品種:アルピナ・ルビー、マクロペタラ、マークハミィ、メイドウェル・ホールなど
■インテグリフォリア(Integrifolia)系
特徴:新枝咲きで、四季咲き性。花は釣鐘状で、木立性または半つる性なので、鉢栽培に向く。
主な品種:インテグリフォリア・ブルー、デュランディ、ヘンダーソニーなど
■ジャックマニー(Jackmanii)系
特徴:新旧両枝咲きで、中輪多花の四季咲き性。
主な品種:ジプシー・クイーン、ジャックマニー、ニオベ、ハーグレイ・ハイブリッド、ビル・ド・リヨンなど
■シルホサ(Cirrhosa)系
特徴:旧枝咲き(一部新枝にも花がつく)で、冬に開花。常緑だが夏に落葉・休眠することも。
主な品種:カリシナ、シルホサ、ジングルベル、フレックルスなど
■テキセンシス(Texensis)系
特徴:新枝咲きで多花、四季咲き性。耐暑性は強いが、寒さに弱い。
主な品種:グラベティー・ビューティー、ダッチェス・オブ・アルバニー、テキセンシスなど
パテンス系のスノー・パラダイス
特徴:旧枝咲きで、大輪多花の一季咲き性。主な品種:カザグルマ、タテシナ、ドーン、白馬など
特徴:新枝咲き多花、四季咲き性。
主な品種:アバンダンス、エトワール・バイオレット、ベティコーニング、マダム・ジュリア・コレボン、ルブラなど
■フロリダ(Florida)系…テッセン系とも
特徴:新旧両枝咲きで、基本は四季咲き性。
主な品種:白万重、ダニエル・デロンダ、テッセン、ビビアン・ペンネルなど
■モンタナ(Montana)系
芳香を漂わせるモンタナ・ルーベンスの花
特徴:旧枝咲きで多花、一季咲き。芳香がある。
主な品種:ウイルソニー、エリザベス、スノーフレーク、ルーベンス、メイリーンなど
■ラヌギノーサ(Lanuginosa)系
特徴:新旧両枝咲きで、大輪多花の四季咲き性。若枝に毛がある
主な品種:H・F・ヤング、ザ・プレジデント、白王冠、穂高、リチャード・ペンネル、ラザースタンなど
■ヘラクレイフォリア(Heracleifolia)系
特徴:新枝咲きで、芳香がある。木立性または半つる性。
主な品種:スタンス(クサボタン)、ヘラクレイフォリアなど
■フラミュラ(Flammula)系
特徴:新枝咲きで多花、一季咲き。芳香がある。常緑だが、冬に落葉するものも。
主な品種:アーマンディー、センニンソウ、レクタなど
クレマチスの鉢植え等管理の仕方
黄色が鮮やかな、タングチカ
クレマチスは日光を好みますが、耐陰性もあるので半日陰くらいまでなら植え付け可能です。西日や株元への直射日光は嫌いますので、適宜マルチングなどして保護します。なお、クレマチスは移植を嫌うので、地植えの場合はよく吟味して植え場所を選びましょう。鉢植えの場合は深鉢を使用し、数年に一度根を傷めないよう注意して植え替えます。
■水やり
地植えの場合は神経質になる必要はありませんが、鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
■肥料
盛夏を除く春から秋までの間、月に2~3回水やり代わりに薄目に希釈した液肥を与えます。それに加えて春と秋に緩効性の固形肥料を置き肥えします。
日本古来のハンショウヅルも仲間
■病虫害
アブラムシ、ヨトウムシ、ナメクジなどによる食害が見られます。また、ネマトーダやうどんこ病が発生することもあります。早期発見により捕殺や自然農薬で対処できます。
■殖やし方
クレマチスは、挿し木、取り木、株分け、種まきにより、殖やすことができます。ただし、品種によっては、挿し木や株分けが難しい場合もあります。また、種まきの場合は、開花までは数年かかります。
クレマチスの剪定方法
数輪剪定せずに、花後の姿を楽しむのも面白い
■旧枝咲きの場合
前年に伸びた枝から新芽を出して、その先に花芽を付けるタイプです。強剪定すると翌年の花付きが悪くなるので、剪定の基本は花後すぐに花首か、その一節下あたりで切る軽い剪定に留めます。枝数が多くなりすぎて混み合っているような場合は、休眠期に弱い枝を基部から取り除きます。
■新枝咲きの場合
前年枝は枯れ、春に地際から新芽が出て花芽がつくタイプです。次々に開花しますが、全体の7~8割咲いたあたりで地際から2~3節残して強剪定します。これによって再び枝が伸び、二番花、三番花と楽しむことができます。休眠期には、全ての枝を地際から2~3節残して強剪定します。
■新旧両枝咲きの場合
旧枝咲きと新枝咲き両方の特性を持つタイプです。充実した前年枝は枯れずに残って春に新芽を出し一番花の花芽を付け、二番花以降は新しく伸びた枝に花芽を付けます。剪定は弱剪定、強剪定と枝ごとに変えると長く花が楽しめます。休眠期は、充実した枝を残して、不要な枝は基部から取り除きます。
クレマチスの四季を通した楽しみ方
仕立て方で様々な表情をみせるクレマチス
またクレマチスは早春から咲き始める品種や、初夏に咲く品種、秋から冬にかけて咲く品種などもあり、開花期の違うタイプを植えることで、四季を通して花を楽しむことも可能です。
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