企業のIT活用/システム運用管理

リスク分散 IT分野での災害対策(2ページ目)

常日頃から災害発生時、どのように従業員の安全を確保するか事業を継続するか考えておかなければなりません。少しでもリスクを低減し分散させることが重要です。IT分野でどういった対策を考えたらよいかみていきましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド


自社サーバーには、免震、停電対策が必要

自社内のサーバーは免震、停電対策が必要

自社内のサーバーは免震、停電対策が必要

停電対策用にUPS(無停電電源装置)が売られていますが雷による瞬時電圧低下対策向けで、それほど時間は持ちません。数時間に渡る停電の場合はサーバーの電源を落とす、もしくはUPSのバッテリー容量が30%を切ったらサーバーを自動的にシャットダウンする設定をしておきます。

サーバーに関してはサーバラックの下に免震対策を施します。コストがかかりますので基幹システムなど重要なサーバーだけを特定し対策します。免震対策は地震による加速度を低減するもので工事の規模にもよりますが安くても100万円ほどはかかります。また天井が落ちてしまわないように対策しなければなりません。

GmailとDropBoxでバックアップ

GmailとDropBoxでバックアップ

GmailとDropBoxでバックアップ

重要データは常にバックアップしておきましょう。メールのアドレス帳をバックアップしている人は多いのですが、メールの内容となるとサーバーに一定期間残しておく程度。

送られてきたメールをGmailに自動転送するように設定、送るときはCC(同報)にGmailアドレスを入れておけばメールをバックアップできます。

中小企業ならオンラインストレージサービス「DropBox」を使うのもおすすめ。DropBoxのソフトをダウンロードするとオンラインストレージを普通のフォルダとして使えます。

保存する時にフォルダーに入れるとパソコンのハードディスクとクラウド上のハードディスクの両方に保存され、自動的に同期がとられます。火事などの災害があってパソコンがダメになっても顧客台帳などを復活できます。2GBまで無料で使えますので、コストがかけられない中小企業向けです。

クラウドサービスを活用する

クラウドサービスを活用する

クラウドサービスを活用する

自前でサーバーを持ち免震、停電対策まで行っているとお金がかかります。IT投資の70%は運用保守など既存システムのお守りに使われています。クラウドサービス活用を検討しましょう。

クラウドサービスにはパブリッククラウドとプライベートクラウドがあります。パブリッククラウドとはGmailやセールスフォースのように、出来上がっているシステムを使い、利用実績に応じて課金するサービスです。一般的にはSaaS(先頭のSはソフトウェア)と呼ばれています。

プライベートクラウドとは個々の企業にあわせたシステムをクラウドを使って構築する仕組みです。IaaS(先頭のIはインフラ)はインターネット経由でコンピュータやストレージなどを提供するサービスです。ニフティクラウドAmazon EC2などがあります。データセンターを利用すると考えたらよいでしょう。またPssS(先頭のPはプラットフォーム)もあり、PaaSは構築ツールが提供されており自社独自のシステム構築ができます。エクセルで顧客管理をしていた中小企業がセールスフォースのForce.comを使い、さらに高度な顧客管理を行うようにした事例などがあります。

クラウドを活用すれば自社内にシステムはいらず、データセンターで管理してもらえます。データセンターは大地震でも支障なく管理・運用できることが求められる施設のため、免震床システムなど様々な免震工事がされています。無停電装置(UPS)や自家発電装置(GTG)を持ち、発電に必要な燃料も常備。燃料会社より追加の燃料が供給される契約をして停電対策をしています。またアクセスが集中すると自社システムでは、すぐパンクしてしまいますがクラウドサービスではパンクしないよう運用されています。

→ ホスティングとハウジングの違い

クラウドは必要なだけ利用し、利用実績に応じて課金するサービスですのでITコストを変動費化できるメリットもあります。従業員が増えればその分を支払えばOK。サービスの追加・削除が簡単にできます。

自社内でなく外部にデータを預けるのでセキュリティの問題がよく言われますが、アマゾンやグーグルが攻撃を受けて情報漏洩するなら、どんな中小企業でもやられるでしょう。

→ 緊急時でも仕事が止まらないIT対策

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