最中種は「もち米」でできている
最中種をよく見ると、長方形の跡が見えます。実はこれ、餅を型に入れた跡。つまり、最中種は餅を焼いたものなのです。
「種亀」では、最中粉(もち米の粉)を水と混ぜて蒸し、こねて餅にして伸し、細長い短冊状に切ります。これをさらに小さくカットしながら、焼成機に取り付けた金型にリズムよく入れます。金型に入った餅は、上下バーナーの機械の中を約3分半かけて一周するうちに型の大きさに膨らみ、ようやく最中種になります。ほとんどの工程が職人さんの手作業です。
私が種亀を訪ねた日、外は激しい雨でした。「湿気に弱いので」としっかりと閉じられた最中種の袋をほどくと、香ばしく焼けたもち米の香りがふわり。力強い香りに圧倒されつつ口に運ぶと、もち米の旨味がしっかり感じられました。これほど風味ある最中種は初めて。「半年は持ちますが、2~3カ月のうちに召し上がっていただくのが一番」最中種にも鮮度あり。1枚1枚丁寧に焼かれた上、出来立てとくれば、ひと味もふた味も違うはずです。
ともすると、最中種はパリパリとした食感ばかりが重視されがちですが、鼻に抜ける香りにこそ、真味があるように思います。