ナルシストは病気? 自己のナルシスト的傾向をチェック
自分を愛すれば愛するほど、他人の気持ちを構わなくなってしまうもの。ナルシスト的傾向を自覚する人は、自己愛性パーソナリティ障害には要注意です!
例えばジムのロッカーの更衣室。鏡の前でポ-ズを取り、自分の姿に見とれている人がいたとしまう。それを見た場合、「あの人、ちょっとナルシストなのかな?」と感じる人は少なくないかもしれません。
もっとも、相当なナルシストであっても、仕事をきちんとこなし、円満な対人関係を維持できる人は、精神医学的には正常範囲、言葉を変えれば、精神科にいらっしゃる必要はありません。ただ、自分を愛すれば愛するほど、他人の気持ちを構わなくなってしまい、今まで親しくしていた人たちから、距離を置かれてしまうというケースも少なくありません。自己のナルシスト的な傾向から、仕事や家庭などの日常生活に深刻な問題が生じている場合、「自己愛性パーソナリティ障害」の可能性もあります。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴、症状、治療法について、詳しく解説します。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴・原因
自己愛性パーソナリティ障害には、「自分は周りのみんなとは違う」と、自分を特別視し、自己の外見、能力など、自己の属性に自信を持ち過ぎる傾向があります。他人には、自分に対する賞賛の言葉や特別扱いを求めるのに、相手の気持ちにはまるで無頓着なことが多く、対人関係において深刻なトラブルが生じやすくなります。自己愛性パーソナリティ障害の頻度は、人口の1%弱。自己愛性パーソナリティ障害の原因自体は不明です。
自己愛性パーソナリティ障害の症状
自己愛性パーソナリティ障害では以下のような症状が、通常20代までに、顕著になります。- 自己の外見、体力、知力など、自己の属性に自信を持ちすぎ、自己の特別視が著しい
- 他人に賞賛の言葉や特別扱いを求めすぎるが、相手の気持ちには極めて鈍感で、相手へ横柄な態度を取りやすい
- 自分の理想の姿を追い求める気持ちが強すぎると共に、他人の前では、自分を、社会的権威のある人物や、知名度の高い大企業、公的機関などに結び付けやすい
自己愛性パーソナリティ障害の治療法
自己愛性パーソナリティ障害の治療ゴールは、他人の気持ちを汲めるようになることです。主に心理療法が行なわれます。ただ、他人の気持ちを汲めるようになるということは、自分の優越性をある程度否定することでもあるので、それが本人にとって受け入れがたいような場合、治療が難しくなってしまう傾向があります。何か治療薬が必要か否かは個人個人の病状によりますが、自己愛性パーソナリティ障害では、年齢を重ねるにつれ、自己愛の源である、性的魅力、肉体的能力などが失われて、気分が落ち込み、薬物療法が望ましくなるケースが少なくありません。具体的な治療薬に関しては、気分の大きな落ち込みに対しては、抗うつ薬。気分の移り変わりが大きい場合は、気分安定薬……など、状況に応じて、治療薬が選択されます。
自己愛性パーソナリティー障害では、他人からの批判など、日常生活でも自意識がダメージを受けることが多くなってしまいます。大きな心の苦しみにつながらない、そして、周りの人たちとうまくやっていくためには、早期に精神科(神経科)を受診することが望ましいです。もしも社会生活上、自己のナルシスト的傾向のため、心の苦しみや落ち込みが大きくなっているような場合、それから抜け出す道として、ぜひ、精神科(神経科)受診もご考慮してみてください。
【関連記事】