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2011年3月決算における改正事項と消費税の注意点(2ページ目)

国税庁が公表しているデータによると、2007(平成19)年4月1日から2008(平成20)年3月31日までの間に事業年度が終了した内国普通法人数は約263万件(年1回決算の場合)で、うち3月決算法人は約53万件あり、全体の約20%を占めています。そこで、2011(平成23)年3月決算法人において適用される改正事項と消費税の注意点について、お知らせします。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド


土地等を先行取得した場合の届出

法人が2009(平成21)年1月1日から2010(平成22)年12月31日までの間に、国内にある土地等を取得し、その取得日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに「平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例の適用に関する届出書」を税務署に提出することにより、税法上の特典を受けることができます。

その特典とは、その取得日を含む事業年度終了日後10年以内に、所有する他の事業用土地等の譲渡をしたときに、その他の事業用土地等の譲渡益金額の80%相当額(2009年取得の場合)または60%相当額(2010年取得の場合)を圧縮できるというものです。ただし、先行取得した土地等の帳簿価額について、その圧縮相当額を減額しなければなりません。つまり、他の事業用土地等の譲渡益は減りますが、その分先行取得した土地等の簿価も減りますので、課税の繰延ということになります。

2010(平成22)年に土地等を取得したのであれば、とりあえず届出を提出することを忘れないようにしてください。

消費税の注意点

消費税の届出は、原則、適用しようとする事業年度開始の日の前日、つまり前事業年度末までに税務署に提出しなければなりません。

免税事業者の場合で翌事業年度に多額の設備投資の予定があり、課税事業者になることで還付の可能性が高いときは、当事業年度末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。

ただし、2010(平成22)年4月1日以後に「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、同日以後開始する事業年度から課税事業者となる法人や、同日以後資本金1,000万円以上で設立した法人については、注意が必要です。課税事業者を選択した事業年度から原則2期以内に調整対象固定資産(棚卸資産以外の資産で税抜き100万円以上のもの)を取得した場合、その取得した事業年度から原則3年間は原則課税による申告しかできないからです。免税事業者に戻ることも簡易課税制度を選択することもできません。このことも考慮したうえで、課税事業者となるのかどうか検討する必要があります。

また、課税事業者が新たに簡易課税制度を選択する場合、あるいは簡易課税制度をやめる場合も、事業年度末までに届出をしなくてはいけません。簡易課税制度の場合は2年継続適用要件(2年縛り)がありますので、注意してください。
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