「御菓子司 中里」の「南蛮焼」と「ぶどう餅」
東京・駒込の和菓子店「御菓子司 中里」のお菓子は3種類のみ。前回の「揚最中」に続き、今回は「南蛮焼」と「ぶどう餅」をご紹介します。そのものずばりの揚最中とは違い、どちらも名前を聞いただけでは、イメージが湧きにくいお菓子ですが、その正体とは?
「南蛮焼」。一見どら焼きのよう
「南蛮焼」は、一見どら焼きのよう。でも、どら焼きの皮は通常、卵を使いふんわりしっとり焼きあげるのに対し、南蛮焼の皮には卵を使いません。使うのは、国内産の小麦粉と膨張剤、黒蜜だけ。これらを水で溶いたものを銅製の丸い焼き台に流し、焼き色を付けないように蒸し焼きにします。
出来上がった皮はふっくらもっちり。沖縄産の黒糖のひなびた風味が優しくて、懐かしさがあります。間に挟む自家製の餡は、北海道産小豆の「つぶあん」と青えんどうの「うぐいすあん(6月中旬~9月のお彼岸まではお休み)」。厚みのある皮に食べ切れるか心配になりますが、餡が非常にあっさりしているので心配は無用です。
4代目鈴木俊さんの息子さんによると、卵アレルギーの方にも喜ばれるそう。そういえば、私の周りにも卵が食べられず、どら焼きやカステラをじっと我慢しているちびっ子がいます。喜ぶ顔が見たくなりました。
「ぶどう餅」。姿を見れば納得!
いくつか集めるとぶどうの房のように見えるので「ぶどう餅」。小さく丸めたこし餡に小麦粉と片栗粉をうっすらとまぶし、蒸し上げたものです。さっぱりとした甘さの餡を味わうお菓子。1粒をじっくり楽しみ、お茶を飲んではまた1粒。さらりとしたこし餡は舌の上でとろけるよう。単純明快なところが気持ちよく、粋なお菓子です。
歌舞伎界にもご贔屓がいたそうですが、経木に納まった姿は品があって愛らしく、差し上げ物にも向いています。
ちなみにぶどう餅は季節限定の味。6月中旬~9月のお彼岸頃まではお休みするのでご注意を。また、期間中でも夕方には売り切れていることが多いので、予約してからの来店をおすすめします。
3種類とも同店で80年以上作り続けているお菓子でありながら、今なおあせない驚きで楽しませてくれます。いずれも珍しさだけで終わらず飽きさせない味。ロングセラーたる所以です。
<店データ>
■「御菓子司 中里」
所在地:東京都北区中里1-6-11 中里SUZUKIBLD
電話番号:03-3823-2571
営業時間: 9:00~19:00(平日)、~17:00(土・祝日)
定休日:日曜日
地図:御菓子司 中里
アクセス:JR山手線駒込駅東口より徒歩約1分、または東京メトロ南北線駅3番出口より徒歩約4分
<百貨店等販売情報>
※いずれも数に限りがありますのでご注意下さい。また、内容は予告なく変更することがあります。
◎「高島屋」地下1階銘菓百選
日本橋店;毎週火・金曜日
(揚最中2個・南蛮焼2個の詰合せ840円)
新宿店;毎週火曜日
(揚最中2個・南蛮焼2個の詰合せ840円、揚最中6個入1,080円、ぶどう餅1箱1,100円)
玉川店;毎週土曜日
(揚最中2個・南蛮焼2個の詰合せ840円、揚最中6個入1,080円)
◎「三越」地下1階菓遊庵
日本橋店;毎週金曜日(揚最中6個1,080円
銀座店;毎週金曜日(揚最中6個入1,080円)
◎「西武百貨店」地下1階諸国銘菓
池袋店;毎週土曜日(揚最中6個入1,080円、3個入540円)