第39回 ホワイトバレンタイン
5年くらい前は円形脱毛症ができるくらい仕事がハードだったダンナですが、ここ数週間は僕のほうがそんな感じで、遅くに帰って来てお風呂に入って何もせずに寝る毎日(脳内BGMは『すばらしい日々』)でした。先週はダンナの誕生日というイベントがあったのですが、「当日はどうしても帰りが遅くなるし、お祝いらしいことはできなさそう…」と思い、前夜にケーキを(コンビニですが)買って、日付が変わったときに出してみました。ダンナは「明日だと思ってた」と言いながら、ウマそうに食べてくれました。
危機は突然に訪れるものです。
土曜日の深夜、酒場の席でのちょっとしたことが原因で、僕らは家に帰ってからケンカをしてしまいました。どっちが悪いとかじゃなく、ちゃんと言うべきことがあったのです。僕ももうちょっと上手に話せればいいのですが、火に油を注いでしまったりすることも少なくなく…(涙)
結果、日曜日は冷戦状態でほとんど口を聞かず、険悪なムードのまま、1日が過ぎました。たいがい寝れば機嫌が治るダンナですが、今回はもう少し深刻だったようです。「明日にはなんとか…」と望みをかけながら、眠りにつきました。
折しも月曜日はバレンタイン。僕らはこの10年間、一度たりともチョコレートなんてやりとりしたことはありませんでした(バレンタイン、ガン無視でした)が、今回だけは「仲直りのきっかけにチョコ買って帰ろう」と思っていました。ところが、いつも通り22時半頃に職場を出ると、ボタボタ雪が降りしきっており、思わず「ウソー!」と叫んでしまいました。
傘を持ってなかったので全身ぐっしょり濡れ、電車が途中の駅でビクともしなくなり…かなり心折れそうでしたが、今日中にチョコを買って帰ろうという一心で、地下鉄と徒歩で帰ることを決意。2時間かけて(脳内イメージは『八甲田山』)、ようやく家にたどり着きました。
「バレンタインには間に合わなかったけど…」と(またしてもコンビニで買った)チョコを手渡すと、ダンナも同じことを考えていたようで、(けっこう高そうな)チョコを用意してくれていました。ぶわっと涙が出そうになりましたが、「ずぶ濡れだからとりあえず風呂に入るね」と言って逃げました。
感情表現が苦手なのは、ダンナよりもむしろ僕のほうかもしれないな…と思いました(お風呂の中での脳内BGMは菊池桃子の『雪にかいたLOVE LETTER』)