セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイライフ

お部屋で楽しむゲイテイストなTVドラマ(4ページ目)

とにかく寒いし、雪は降るし、外に出るよりはお部屋で過ごしたくなる今日この頃。そんな季節にピッタリな、お部屋で楽しめるゲイテイストなTVドラマを特集してみたいと思います。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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放浪息子

放浪息子

 

フジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」(木曜25:15~25:45)で放送されている『放浪息子』。女の子になりたい男の子や男の子になりたい女の子の「心の旅」を繊細に描いた名作です。

『放浪息子』の原作者は、女子高生の恋愛と友情を描いた『青い花』(これも2009年にフジテレビでアニメ化され、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に。アメリカのレズビアンサイトでも紹介されました)の志村貴子さん。1997年に『コミックビーム』に掲載されたデビュー作『ぼくは、おんなのこ』が元になっている作品で、2002年から同誌で連載が開始され、現在も続いています(平成18年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門・審査委員会推薦作品です)

『放浪息子』の世界ではトランスジェンダー(性同一性障害)の人たちが受け容れられているようで、微妙な世界です…そして、登場人物は中学生くらいの子どもたちですから、「気持ち悪い」「男なら男らしくしろ」と遠慮なくツッコミを入れる人もいます。
一方で、「将来は手術するの?」とか、大人になったときに直面する(今はまだ声変わりもしていないしひげも生えていないのです)厳しい現実のことも描かれていますし、ちゃんとサポートしてくれる大人も登場します。

主人公の二鳥くんを中心とした半径5メートルくらいの世界で起こる悲喜こもごも…そこから少しずついろんな人間関係が見えてきて、突然、ビックリするような展開になって。
一見、ぽわーんとした漫画的な世界に見えますが、容赦なくシリアスで、なかなかにリアルです。
たぶんこれは、二鳥くんの「女の子になりたい」願望をめぐる物語で、少しずつその願いは叶えられていくと思うのですが、二鳥くんは常に葛藤していて、小さな地獄も見て…せつなさに満ちています。淡々としているようでドラマチック。繊細だけど大胆だったりします。

また、「女の子になりたい」願望とともに重要なファクターになっているのが、恋愛です。二鳥くんは小学校時代、「男の子になりたい」願望を持った高槻よしのさんと出会い、二人はそれぞれ異性の服を着ていっしょに街を歩いたりするのです(なんて幸せなめぐりあわせでしょう!)。二人の関係は「恋」というよりも友情に近いものですが、中学のクラスメート・千葉さんが「恋敵」として登場します(千葉さんは「女の子になりたい」所も含めて、二鳥くんのことが好きなのです)
たとえば『ボーイズ・ドント・クライ』のFTMトランスジェンダーの主人公の悲惨さに比べると、二鳥くんはなんて幸せなんだろう…と思います。

でも、それでも、本当は自分が何者で、どうしたいのか…二鳥くんは困惑します。「男として女が好き」なストレートの人や「男として男が好き」な僕らゲイと違って、自分自身の性(ジェンダー・アイデンティティ)が揺らいでいる二鳥くんにとっては、恋愛もフクザツなのでした。
二鳥くん、高槻さん、千葉さんの三角関係は、今後ちょっとドロドロした展開も予感させますが、ハラハラしながら彼らの行く末を見守りたくなります。

現在、第4話までが放送されています。
こちらで第1話が無料視聴できますので、「アニメは苦手…」という方もぜひ、お気軽にご覧ください。

放浪息子

『放浪息子』
フジテレビ 毎週木曜25:15~25:45










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