蟹コースより
・先附
先附
まずは、川瀬竹春の二段式器が供され、上段(写真左)が「赤蕪の博多」、下段(写真右)が「鯖のなれずし」という趣向となっています。赤蕪は蟹と数の子がそれぞれ2種類ずつ盛られており、こういった仕事の細かさが見事! しかも、見た目の美しさに比例するかのごとく味わいも実に華やかで、蟹コースの期待値を一気に高めてくれるスターターでした。もう一皿(下段・写真右)の「鯖のなれずし」も、熟し方(発酵具合)が程よく、とにかく日本酒が進むのです。
「蟹」には、やはり「日本酒」がピッタリ
尚、この日の酒は「緑川」。徳利は「伊東陶山」で、お猪口は「三輪休雪」作。いつもながら素敵な器使いで楽しませてくださいます。
・椀物
蟹のお雑煮
少しだけ正月の名残も、ということで今回の椀物は「お雑煮」です。二羽の鶴が描かれた蓋を開けると、白味噌に浮かび上がる「ばちこ」と「金箔」の美麗さに、思わず心を奪われそうになりますが、驚くべきは、この「蟹しんじょう」の仕上がり! 一般的な「蟹しんじょう」とは違い、ほとんどが蟹の身だけで構成されているのです! それゆえに食感も蟹独特の柔らかさと、濃厚な旨味が存分に味わえ、白味噌との相性も抜群。この大胆かつ贅沢な蟹の使いっぷりは、さすがは蟹コースだけはありますね。
・向附2種
「大間の大トロ」「加太のモンゴイカ」「八幡浜のしまあじ」
お造り一皿目は、鶴の器(永楽正全 作)にて「大間の大トロ」、「加太のモンゴイカ」、「八幡浜のしまあじ」の3種盛り。どれも旨味が乗っており完璧でしたが、特に大間の大トロの上品な蕩けるテイストが堪りません。
蟹のお造り
そして「蟹コース」ということで、矢口永寿の唐子の深鉢に盛られた「蟹」のお造りも登場です。
甲羅を外しても動き回っていたというほど新鮮なズワイガニは、その質と鮮度の高さを物語るかのような瑞々しさ! カニ酢を付けなくとも、そのままの旨味で充分すぎる味わいでした。
次ページでは、蟹コース後半を御紹介します。